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同じ敷き詰めの授業を,学年ごとに違う授業にしよう!
2021/11/01
 2年生でも,3年生でも,4年生でも図形を敷き詰める授業が設定されています。さて,それぞれの学年でうまく敷き詰めるためには,何に着目させるとよいのでしょうか。それによって講じる手立ても変わってきます。

 いろいろな形の図形を敷き詰める授業を行いました。まず,敷き詰めた模様を見せました。【左の写真】模様を見た子どもたちから,「おー!!」「きれい」と感嘆詞がもれてきました。頑張ってつくった甲斐がありました。その後,台形のみで敷き詰めさせました。敷き詰めた気付きを聞くと,今まで敷き詰めた経験を生かして,同じ長さの辺どうしを合わせるとよいという気付きがすぐに出て,辺に着目させることができました。同一図形による敷き詰めやすさを実感させることで,次の展開の困り感に対する布石となりました。欲を言えば,組み合わせることで,内部に平行四辺形や正六角形など,別の図形ができていることまで見いださせたかったですが,まだ難しかったようでした。

 次は四種類の図形,台形,正三角形,正方形,ひし形を使って敷き詰めさせてみました。先ほどの簡単に敷き詰めることができた布石が生きて,隙間が空いてうまく敷き詰められなくて困っていた子どもがいました。【中央の写真】その子の敷き詰めを取り上げ,どうやったら敷き詰めることができるのか,アドバイスを考えさせました。先ほどの台形のみで敷き詰めた模様と比較させると,悩んだ末に,直角や直線といった辺だけでなく,4年生で習った角度に着目する意見が出始めました。
 
 そこで,直角でも直線にもなっていないけど,敷き詰めることができたものを提示しました。【右の写真】それぞれの図形の角度を与えていたので,合計で360°になるようにすればよいことに気付くことができました。

 2年生では直角を習うので直角や直角2つ分の直線に着目させ,3年生では辺の長さで三角形を仲間分けするので辺の長さに着目させ,4年生では角度を学ぶので角度に着目させるといった,同じ敷き詰めで各学年で学ぶことを生かし,学年間のつながりを意識した授業にすると,子どもは深く学び,面白いなと思えた時間でした。

 つながりということで。次の時間に正三角形や長方形,正方形など,同一図形のみで敷き詰めた模様を一瞬だけ見せ,どれが一番便利な図形かを検討させました。便利な図形とは,隙間なく敷き詰めやすく,敷き詰めた個数が数えやすいなど,視点を与えました。すると,子どもは敷き詰めやすいから正方形,個数はかけ算で数えやすいから正方形と,正方形の利便性を実感することができました。この正方形の利便性を実感したことで,12月頃に行う単元「面積」への布石としていきたいと思います。                (山本)

イメージを豊かにもたせてから形式を教えよう
2021/10/29
授業アドバイザーに行く関係で,2年1組と2年2組のそれぞれのクラスで算数のかけ算の授業をさせていただきました。二クラスとも,とってもいいクラスなので,授業をするのがとても楽しかったです。2年生の皆さん,ありがとう!
この日扱った問題は,「おかしのはこが4はこあります。1つのはこには,おかしが5こずつ入っています。おかしはぜんぶでなんこありますか。」です。まず,すぐに式を聞いてみました。すると,ある子が「5×4」と答えます。そこで,私が「他には?」と聞いてみますと「4×5」と答える子もいます。「どちらでもいいよ。」と言う子もいます。
「どれが正しいのかな?」と問いが生まれ,解決することになりました。子どもたちは素直に自分が考えた理由を述べてくれるので,とても白熱した話し合いになりました。
問題文からその場面をイメージし,その上で立式しないと間違ってしまいます。子どもたちにイメージを豊かにもたせてから,式などの形式を学ばせていかないと,活用できる力にならないと,図の大切さを改めて考える一日となりました。2年生のみなさん,とても楽しい時間をありがとうございました。(兼安)

言葉の力〜四捨五入〜
2021/09/16
 四捨五入するとき,なぜ5は切り上げるのでしょうか?

 2年生のかけ算で「2×3」をテーマに授業を行う場合,「2×3は?」と聞くより,発問の言葉を少し付け足して「2×3となるお話をつくってみよう」と聞いた方が,知識・技能だけでなく,子どもがかいた図から「3×2」で捉えてしまっていないか,「2×3」の式の意味を正しく理解できているかなど,思考・表現も問うことができる。何より,「こんなお話つくったよ」と,子どもの意欲も変わってくる。
 また,言葉を誰が発信したかで効果も大きく異なる。教師が発した言葉より,子どもが発した言葉は子どもによく響くから理解や反応も大きく異なる。
 言葉1つで授業の展開も子どもの様子も異なる。先日,「およその数」の四捨五入の導入の授業で,改めて言葉の力を感じた場面があった。

 「13,907は1万と2万,どちらに近い数か?」と子どもに問うと,「約1万だから1万に近い」と。同様に17,097を問うと「約2万だから2万に近い」と答えた。すると,ある子が「1万と2万の間の15,000を基準に考えたらいい」と発言した。他の子も「うん,うん」と
頷いていた。
 そこで,「15,000は1万と2万,どちらに近い数?」と問うと,子どもは自信ありげに「2万に近い数。だって四捨五入したら2万になるから(※ただし,四捨五入はこの授業の最後に学ぶ内容である)」と発言した。それに対して「四捨五入したらとは言っていないよ。1万と2万,どちらに近いか聞いたんだよ」とニヤリとしながら返した。子どもたちは「えっ!?」ととまどい,考え出した。
 正直,今回の発問は算数科としてはとても重要だが,子どもだけでは解決が難しいと想定して手立てを用意していた。しかし,予想に反して嬉しい誤算があった。少しすると,ある子が数直線(添付画像)から「15,010は15,000の仲間で2万に近い数,15,003も15,000の仲間で2万に近い数。だったら,15,000も15,000の仲間で2万に近い数になるよ!」と説明した。それを聞いた他の子から「おー!!」と感嘆の声があがった。
 予想に反して子どもが応えてくれたことも嬉しかったが,それ以上に「仲間」というキーワードで説明した,子どもの言葉が子どもに響いた瞬間を実感したことが嬉しかった。私には「仲間」という,素敵なキーワードは思いつかなったし,私が子どもに説明してもここまでうまく響かなったと思う。子どもが子どもの言葉「キーワード」で説明したから,聞いてた子どもも応えて響いたのだと思う。
 今回「15,000」について考えたことで,方法知として四捨五入を知るだけでなく,5を切り上げる理由やその印象は頭に強く残ったのではないかと思う。これからも子どもの理解度を高めていくためにも,発問の言葉の精選はもちろんのこと,子どもが発した子どもの言葉「キーワード」を大事にしていきたい。(山本)

第5学年 小数のわり算 8/15時での出来事
2021/07/28
題名の日の5日前のことです。
ある男の子が,私に「みんなに言いたいことがあるんです。先生,授業の最初に時間をもらえませんか?」と言うわけです。私は興味が湧き,「どんなことをみんなに伝えたいの?」と,ノートを見せてもらいました。そのノートを見て私は『これはいい!授業の進み具合に併せて,この子に紹介させたい。』と思い,「あなたの提案は素晴らしすぎるから,もう少し待ってね。」と堅い約束を結びました。
「先生!僕は今日発表するんですか!?」,「いや〜今日じゃないんよ。もう少し待ってね。」というやり取りがしばらくの間続きました。
そして,「お待たせしました。◯君,君の考えをみんなに伝えてください。」
「みなさん。小数のかけ算で『かける数>1のとき 積>かけられる数,かける数=1のとき 積=かけられる数,かける数<1のとき 積<かけられる数』と言う勉強をしたことを覚えていますか?小数のわり算でも同じことが僕はあると思います。だから,『わる数>1のとき 商>わられる数,わる数<1のとき 商<わられる数』になると思います。どうですか!?」
 いきなりのことなのでクラスの子どもたちは,キョトンです。が,すぐに周囲の友達と話し合い(検証)がはじまりました。ある程度,話し合い(検証)が済んだところで,私は子どもたちに聞いてみました。
「◯君の考えに賛成?反対?」手を挙げさせてみると,賛成3人,反対20人,わからない7人です。「では,◯君の考えを確かめるために15÷□の□に色々な小数を入れて計算してみましょう。」と授業は展開していきました。15÷0.3や15÷0.2,15÷1.5など様々な計算をする中で,「わる数>1のとき 商<わられる数,わる数=1のとき 商=わられる数,わる数<1のとき 商>わられる数」とまとめることができました。
 私がこの授業で嬉しかったことは,@子どもが算数の問題を見いだした姿,A数学的活動を子どもたちの力で遂行する姿を見れたことです。この姿は私の目指す姿でもあります。

では,なぜ,◯君はいきなり「自ら見いだした気付き」を言わせてくれと言ってきたのか不思議に思いませんか?
私は偶然だとは思っていません。実は,この日に至るまでの私なりの「しかけ」があり,それが功を奏したからだと思っています。8月6日(金)の語り合う会では,その「しかけ」について提案していきたいと思います。子どもが算数の問題を見いだして提案してくるようになると,授業展開は非常にスムーズになるし,子どもの主体性は途切れません。一緒にそんな子どもたちを育ててみませんか?御参加お待ちしております!

学び方が身に付いてきたのかな?
2021/06/14
6年生の分数×分数の授業の一コマです。

私はAさんに好きな数を尋ねました。すると「9です。」と答えます。Bさんにも尋ねてみると「7です。」と答えます。私は「先生の誕生月は2月だから2が好きなんだよね〜。」と言った後,「この9と7の組み合わせを使って,次の計算の答えはどちらが大きくなるか考えてみて下さい。」と続け「9−7と9×7」と板書します。即座に子どもたちは自信満々に「9×7」と答えます。「差より積が大きくなるね。」と確認した後,「分数ではどうなるのかな?」と尋ねます。すると,「積じゃろ。」「差の方が大きくなるんじゃない?」
そこで私はおもむろに「2/7と2/9」の組み合わせを示し「2/7−2/9と2/7×2/9」の計算をさせてみました。すると,「あれ,なんで,同じじゃん,なんでなんで?」と問いがうごめき始めました。そこで,私は,「この組み合わせは偶然だったのかな?他にも差と積が等しくなる分数ってあるのかな?」と尋ねると,子どもたちは必死になって等しくなる組み合わせを探し始めました。
と,まあここまでは,公立の小学校時代でも必ず盛り上がった私の鉄板の授業ネタであり予想通りの展開でした。
このクラスの子どもたちは,ここからが違いました。
 Cさんが言います。「2があやしいんじゃない?分子を2にすれば見付かるんじゃない?」と自分なりの問いを見付け,隣のDさんと探し始めました。すると,等しくなる組み合わせを発見することができました。「あれ,もしかしてきまりがあるのかな?」と問いを連鎖させていきます。きまりを見付けたCさんは,更に「だったら分子が3でも4でもできるはず!」と更に問いを連鎖させ,あっという間に見付け方まで見いだしました。
 この頃になると,クラスには等しい分数が見付けられた人と見付けられない人にわかれてきました。そこで,私はクラスの子どもが見付けたできなかった場合を「4/5−4/7と4/5×4/7」や「4/3−4/5と4/3×4/5」と板書してみました。しかし,まだ見付けられていない人にとってはヒントにならなかったようです。
すると,CさんやDさんが,「できる場合を黒板に書いてもいいですか?」と言ってきたので了承すると,「2/1-2/3と2/1×2/3」や「2/3-2/5と2/3×2/5」と書き始めました。それを見ていた幾人かの子どもは「ハッ!」ときまりに気付き,自分自身で等しくなる分数の組み合わせを確かめ,まだ困っている人にヒントを出し始めます。見付からずに困っているEさんが言いました。「やっぱり2じゃないといけんのかね〜?」
 すると,CさんやDさんが「そんなことないよ。何か好きな数字言って。」とクラス全体に尋ねます。「6」や「5」と友達がリクエストしたので,それに応えて「6/3−6/9と6/3×6/9」や「5/2−5/7と5/2×5/7」と,しかも,きまりが発見しやすいように工夫しながら書いていきました。この時点になると,随分ときまりを見いだした子どもも増えましたが,まだ見付からない人もいます。私からは「全員にきまりを発見する喜びを感じてほしいので,ヒントを出してね。」と一つだけ注文しました。それに応えてDさんが「分母にの並び方に注目して。」とヒントを出すと,ほとんどの人が,差と積が等しくなる分数の組み合わせのきまりに気付くことができました。
私は見付かったきまりをFさんに発表させると「引く数の分母から引かれる数の分母を引くと,その差が分子になる。」と答え,最後には,どの子も一つ以上は自分の力で差と積が等しくなる分数の組み合わせを見付けることができました。
 途中から私の出番が全くなくなった子ども達だけの力で創り上げた忘れ難い授業となり,大変嬉しく思った1日となりました。(兼安)

オリンピックは開催されるのか?〜折れ線グラフと表〜
2021/06/12
 先日の算数の時間に折れ線グラフを書く学習をしていたところ,子どもが「自分たちで調べた物を折れ線グラフで表してみたい」と言ってきました。折れ線グラフと二次元の表の分類を学習した後,予定していた学習内容だったので,何か日常生活に関わることを教材にできないかなと考えました。同時に,1人1台タブレット端末が支給されているので,タブレット端末を使ってグラフを作成する利便性を実感できる授業ができないかと。

 そこで,国内の新規新型コロナウイルス感染者の推移からオリンピックの開催について考える授業を設定しました。まず,表に10月〜3月までの新規感染者数を伝え,子どもは手に持っているタブレットの表計算のアプリに入力しました。子どもは「感染した人が多いのはわかるけど・・・」と口ごもる様子でした。
 
 すると,「折れ線グラフで表してみたい」と言い出した子がいたので,「1秒で折れ線グラフ,さらに棒グラフも作ってみようか」と言うと,「えー!?」と反応が返ってきました。そこで,別のシートを開くように指示をすると,そこにはさっき自分で入力した数字が反映されて,すでに折れ線グラフと棒グラフが出来ていました。グラフ作成にかかった時間は,シートを開くための1秒!!子どもは,「わー!すごい!!」と驚いていました。今回は,タブレット端末にまだ慣れていない子も多いため,慣れることとタブレット端末の利便性を実感させることを目的にしたため,表に入力すると自動でグラフが作成されるようにしました。

 そこから,子どもにそのグラフを考察させました。実は,ここで少し仕掛けを設定していました。子どもは感染者は増えていっていると思っていましたが,グラフを見ると減っていっていました。実は1月をピークに2月,3月は減っていたので,あえて3月までの情報しか与えませんでした。グラフといったデータを扱う際に大切なこととして,そのデータの信憑性を疑うことも重要だと思います。子どもは少し困惑しながら,でも,日常生活で得た情報から,オリンピックは開催できないと自信なさそうに言っていました。

 すると,ある子が「4月,5月といった,今に近い時期の新規感染者の数も知りたい」と言ってきたので,伝えると,感染者数が大きく大幅に増えましたところで,子どもは納得していました。

 今回は,タブレット端末でグラフを作成する前段階として設定した授業だったので,概ね上手くいったのではないかと思います。このような子どもたちが次の年に割合を使った円グラフや帯グラフを学習したときに,タブレット端末でいろいろなグラフを作成し,目的に応じて適切なグラフを選択する力を身に付けていく姿を想像すると,とても楽しみになりました。課題としては,子どもがまだ操作に慣れていないため時間がかかったり,授業者の私も操作の指示に手間取ったりしてしまいました。慣れてくると,グラフの考察に充分な時間を設けることで,もっと考えを深めることができると思いました。慣れについては,子どもと一緒に時間をかけて解決していけたらと思います。
(山本)

虫食い算でアルゴリズムを確かめよう〜割り算の筆算〜
2021/05/13
 今年度は4年生を担任することとなりました。どうぞよろしくお願いいたします。4年生の算数は,小数など,具体的なものから抽象的なものへ移行していくので,スムーズに移行ができるように,丁寧に指導していこうと思います。

 先日,オンライン参観日を行いました。御多用の中,参観していただいた保護者のみなさまに厚く御礼申し上げます。オンライン参観日では割り算の筆算の虫食い算を教材に授業を行いました。虫食い算を解く活動を通して,割り算の筆算のアルゴリズム(繰り返される手順)を思い出し,割り算の筆算の仕組みを説明することができることをねらいとしました。

 まず,94÷2の筆算を行いました。今まで,3桁÷1桁の筆算をしていたので,子どもたちはさっと解いていました。次に,□7÷3の筆算で□に当てはまる数を考えさせてみました。これも引き算の部分から逆算してすぐに答えていました。
 
 このように,徐々に難易度を上げて,□□÷□を問題に出すと少し困っていました。しかし,友達と話し合うとすぐにわかったようで,楽勝!といった表情を浮かべていました。ある子に説明してもらうと,「割る数□と商の2(割り算の答え)をかけ算すると,途中の数字4になるから,割る数の□は2だよ」ととても上手く説明できていました。また,ある子は,「割られる数□□の一の位の□をおろして8になるから,割られる数□□の一の位の□は8だよ」と説明していました。

 割り算の筆算は,
@ 商をたてる
A かける
B ひく
C おろす
この4つのアルゴリズム(繰り返しの手順)を徹底させることが大切です。さっきの2人が説明していたことは,正にアルゴリズムを理解しているからこそ,できる説明ではないでしょうか。全体的に割り算の筆算のアルゴリズムが定着していることを嬉しく思った瞬間でした。

 最後に3桁÷1桁の虫食い算を出したのですが,授業の終わりの時刻が近づいていたため,子どもとして不完全なままで終わってしまったことが課題でした。もし,もっと早めにその問題を提示できていたら,子どもが考える時間をじっくり設けることができたと思いました。そうすることで,授業の流れとしても,2桁で達成できたと思ったら,3桁で困り感をもち,話し合うことで自ら解決し,みんながわかる,より高い達成感を得らせることができたのではないかと思いました。

 課題と向き合いながら,今年度も研鑚していきたいと思います。
(山本)

わり算なのに,なぜかけ算をするの?
2021/04/23
 今年も子どもの不思議に寄り添う授業を展開していきたいと思っています。
 6年生の「分数のかけ算とわり算」からです。4/5÷3の計算の仕方を探している最中のことでした。クラスの半分位の子どもは,4/5×3と分母の5に3をかければ答えが出ることを塾やお家の人から聞いて知っているようでした。
 しかし「なぜ3をかけるの?」と理由までは説明できません。そこに焦点をあてると「わり算なのに,なんで3をかけているんだろう?」とクラスの問いが生まれ,そこを追究していくことになりました。
 ある子が言います。「÷3ができるように,4/5の分母と分子に3をかけて12/15にすれば計算できるよ」それを聞いた子どもは「どうして分子と分母に3をかけるの?」と納得できません。子ども達は粘り強く話し合いを続け,ようやく「÷3ができるように」の意味をクラス全体の子どもが納得しました。
 すると今度は,4×3÷3/5×3を見て,「どうして分子を÷3をしてるのに,分母に÷3しないのか?」と新たな不思議が出てきました。「だって,もとにもどるじゃん。」「えっ?だってさっきは分母も分子も同じ数をかけろと言ったじゃん?」子ども達は自分の感じた疑問を素直に相手に伝え合います。
 何度も話し合いを重ねて,ようやく,式の変形を続けていくと4/5÷3=4/5×3の形に辿り着くことに納得することができました。
 子ども達が心から「わかる!」となるには時間がかかることに改めて気付かされたこの時間。じっくり子どもの不思議に付き合っていく1年間にしたいと思っています。
 今年もどうぞよろしくお願いいたします。(兼安)

5年生,プログラミングを体験しよう!
2021/03/16
 2020年,プログラミング教育が必修化されました。プログラミング教育が必修化するのは,「プログラミング的思考」を養うためです。もう少しわかりやすい言葉で言うなら「順序だてて考え,試行錯誤し,ものごとを解決する力」を養うためです。今回の授業で,子どもたちはどのようなプログラミング的思考をしていたのかについて紹介したいと思います。
 めあては「正多角形をかくプログラムをつくろう。」でスタートです。使用したのは有名なScratch(スクラッチ)です。まず最初に使用方法を確認するため,子どもたちと一緒に正方形をかくプログラムを完成させました。ペンを下ろした後,100歩動いて90度左回りを4回繰り返すプログラムを完成させれば,キャラクターは正方形を描きます。子どもたちはキャーキャー喜びながらプログラムを作っていきます。上手くキャラクターが動かないときは,プログラムを見返したり,友達に相談したりして完成させました。正方形は少し戸惑った子どもたちではありましたが,仕組みを捉えてからが早かった!
 正三角形,正六角形,正五角形と様々な正多角形を次々と作っていきます。「あれ,思った通りに動かないぞ。プログラムのどこがおかしいんだろう」「角度の数値を変えてみたら,どんな形になるのかな?」「星の形を作ってみたいな」「先生,こんな形もできました!」動き出した子どもたちは正多角形の枠に収まり切らず,様々な形を描くプログラムを完成させていきました。
 最後に子どもが作った形を紹介します。さて,このプログラムはどんな形を描くのでしょうか?

「72度左回り」「100歩動かす」「72度左回り」このことを5回繰り返す。(兼安)

日常の事象を数学的に考える難しさ〜分数〜
2021/03/03
 先日の参観日は,分数の授業を行いました。御多用の中,御参観いただきありがとうございました。内容は,粘土で作ったピザを,できるだけぴったり1/4に分ける方法を考える授業を行いました。
 今まで折り紙や紙テープを折って,平面の具体物を1/2や1/4に分けることを学習してきました。その発展として学習してきたことを生かして,立体を平面の考え方を使って分けることができないかという問いを中心に授業を考えてみました。

 まず,平面の場合はぴったり同じ大きさになると1/4に分けることができたと言えることを再確認しました。「重ねてぴったり」は,五年生の合同にもつながります。その後,立体の場合はぴったり同じ大きさになるとぴったり同じ重さになることを伝えました。重さは三年生で取り扱う内容ですが,身体測定のときに体重を量った経験もあるので,あまり深入りして二年生の内容を超えないようにするため,さらっと流す形で伝えて重さが同じになればよいというゴールを明確にするようにしました。

 そして,試しに日常の経験からだいたいの大きさで切り分けると,子どもから「だめ!」「違う!」と総勢なツッコミが入りました。「円の中心」の概念を知らないので,だいたいで切り分けると,うまく分けることができないという困り感から,ピザをぴったり1/4に分ける方法を考えていきました。

 各班で話し合っている姿を見ていくと,2つの三角定規の直角をどうにか使えないか,2つの定規をどうにか使えないかと試行錯誤していました。どの班の考えもこちらの予想を上回る方法で考えていて,「おもしろい!」と思いました。特に,2つの定規で考えていた班は,ピザの直径がちょうどその定規の長さと同じだったので上手くいきそうでした。(しかし,切りたい直線が定規に描かれた直線であったため,定規ごと切ることになるので再検討していました)

 しばらくすると,ある子がピザの下にひいたクッキングシートがピザと同じ大きさであることに気付き,そのシートを切ってもよいかと相談にきました。それを全体に紹介すると,ヒントを聞こうと他の班の子がその子のところに集まりました。中には,独自の方法で考え続ける子もいました。こちらが強制的に聞きに行くことを指示したわけでもなく,自ら聞きたいと行動した子,また,あえて聞きに行かず,自力で考えることを選択した子,これこそ正に主体的・対話的に取り組んでいる姿と言えるのではないでしょうか。

 各班が考えた切り分け方から,1/4に折ったクッキングシートで1/4ずつピザを分けていく方法と,1/4に折り目をつけたクッキングシートをピザの上に乗せて,折り目でなぞってピザに目印を付けて切る方法が出てきました。そこで,1/4に切り分けることができた「ぴったり賞はどの班だ!?」という課題で,実際に切り分けてみました。子どもたちの意欲が湧くように「ぴったり賞」としたのはよかったのですが,この後が大きな失敗でした。

 まず,重さを量るのに使用した電子てんびんがうまくいかず,毎回きちんと0gになりませんでした。また,切り分ける道具を安全面を考慮してナイフではなく,バターナイフだったため,持ち手と刃の部分が曲がっていて目印通りに上手く切れませんでした。一番の失敗が目指すゴールとなる重さの範囲を明確にしなかったことでした。すべての班が70〜80gに近い重さになっていたのでうまく切り分けることができたと言えたのですが,どのくらいの重さになればよいかの範囲を明確にしていなかったため,子どもたちはうまくいかなかったと思い,表情が微妙だったのではないかと,授業後に気付きました。

 実測であるため理想値にならない以上,目指すゴールの範囲を明確にすることの大切さをしみじみと実感しました。これをきちんと押さえることで,算数科で必要とされている,日常の事象を数学的に考えることができると反省した授業でした。(山本)

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