 |  | 言葉の力〜四捨五入〜 |  | | 2021/09/16 | | |  | 四捨五入するとき,なぜ5は切り上げるのでしょうか?
2年生のかけ算で「2×3」をテーマに授業を行う場合,「2×3は?」と聞くより,発問の言葉を少し付け足して「2×3となるお話をつくってみよう」と聞いた方が,知識・技能だけでなく,子どもがかいた図から「3×2」で捉えてしまっていないか,「2×3」の式の意味を正しく理解できているかなど,思考・表現も問うことができる。何より,「こんなお話つくったよ」と,子どもの意欲も変わってくる。 また,言葉を誰が発信したかで効果も大きく異なる。教師が発した言葉より,子どもが発した言葉は子どもによく響くから理解や反応も大きく異なる。 言葉1つで授業の展開も子どもの様子も異なる。先日,「およその数」の四捨五入の導入の授業で,改めて言葉の力を感じた場面があった。
「13,907は1万と2万,どちらに近い数か?」と子どもに問うと,「約1万だから1万に近い」と。同様に17,097を問うと「約2万だから2万に近い」と答えた。すると,ある子が「1万と2万の間の15,000を基準に考えたらいい」と発言した。他の子も「うん,うん」と 頷いていた。 そこで,「15,000は1万と2万,どちらに近い数?」と問うと,子どもは自信ありげに「2万に近い数。だって四捨五入したら2万になるから(※ただし,四捨五入はこの授業の最後に学ぶ内容である)」と発言した。それに対して「四捨五入したらとは言っていないよ。1万と2万,どちらに近いか聞いたんだよ」とニヤリとしながら返した。子どもたちは「えっ!?」ととまどい,考え出した。 正直,今回の発問は算数科としてはとても重要だが,子どもだけでは解決が難しいと想定して手立てを用意していた。しかし,予想に反して嬉しい誤算があった。少しすると,ある子が数直線(添付画像)から「15,010は15,000の仲間で2万に近い数,15,003も15,000の仲間で2万に近い数。だったら,15,000も15,000の仲間で2万に近い数になるよ!」と説明した。それを聞いた他の子から「おー!!」と感嘆の声があがった。 予想に反して子どもが応えてくれたことも嬉しかったが,それ以上に「仲間」というキーワードで説明した,子どもの言葉が子どもに響いた瞬間を実感したことが嬉しかった。私には「仲間」という,素敵なキーワードは思いつかなったし,私が子どもに説明してもここまでうまく響かなったと思う。子どもが子どもの言葉「キーワード」で説明したから,聞いてた子どもも応えて響いたのだと思う。 今回「15,000」について考えたことで,方法知として四捨五入を知るだけでなく,5を切り上げる理由やその印象は頭に強く残ったのではないかと思う。これからも子どもの理解度を高めていくためにも,発問の言葉の精選はもちろんのこと,子どもが発した子どもの言葉「キーワード」を大事にしていきたい。(山本) | |  |