光小トップ研究算数科トピックス
 
ICTを「文房具」として…
2022/06/02
今年度は,4年・5年・6年の算数科に関わらせていただいている兼安です。
さて,5年の体積のある場面です。子どもは,自分の思いを伝えるためにタブレットを片手に持って,タブレットに取り込んだ写真に赤い線を加えて強調しながら説明したり,大きく見えるように拡大しながら説明したりしています。その子は,そうした方がわかりやすいと思ったのでしょう。自分で判断し,タブレット使用の許可を私に得て,その様に発表しました。聞き手もわかりやすかったようで,大きく頷く姿があちこちで見られました。正に子ども自身がICTを「文房具」として自由な発想で活用していたなと,私が今年目指そうとする一つの姿だと嬉しくなった瞬間でした。これからもその様な場面をたくさん発信できたらと思っています。
本年度もどうぞよろしくお願いいたします。(兼安)

ゲームに没頭する子ども〜長い長さ〜
2022/05/29
 「ごはんできたからもうゲームやめなさい」
 「あと少しだけ。もうすぐクリアだから」
 御家庭でこのような会話のやり取りをする場面はありませんか。私も子どもの頃に同じようなやり取りの結果,ゲームをやめれずに怒られていました。

 子どもがゲームに没頭するのはなぜでしょうか。単純に楽しいだけではないのかも知れません。友達がやっているからやってみたい,このキャラクターが好きだからやってみたいなどのポジティブ感情が作用しているのかも知れません。また,簡単なゲームだとすぐに飽きてしまうし,逆に難しすぎると挫折してしまいます。そこらへんをちょうどよい難易度に設定して,クリアできそうでできないという,うまくプレイヤーの「クリアしたい」という心をくすぐりながら、プレイヤーにとって心地よい負荷となるレベルに,ゲームはうまく作られているなと感心します。

 最近,単元「長さ」の授業を行っています。ここでは,「cm」や「mm」の普遍単位を用いて測定します。本校で使用している日本文教出版では,砂浜を歩いたウミガメの距離をブロックや消しゴムといった,任意単位を用いて間接的に比べるようになっています。
 
 この学習課題に没頭するために,やってみたい,という感情をどうにか引き出す方法はないかと考えました。そこで,折り紙で「ぴょんぴょんカエル」を作り,それぞれの跳んだ距離を比べるようにしてみました。自分が作ったものなら愛着が沸き,やってみたいと思えるのではないかと。

 作らせてみた結果,子どもはとても意欲的に学習活動を行っていました。跳んだ距離を比較させると,スタート位置を揃えて直接比較する子,感覚的に判断する子など様々でした。先の学習を知っている子もいるので,ものさしで測るという意見も出ました。あえて,その意見は置いておいて,他の意見も聞いてみましたが,子どもの思考が止まってしまいました。

 ここは子ども同士で考えさせる我慢の時間だと思い,静観した後に,日常の似た場面を想像させると,ある子がボソッと「手で測るかなぁ」と言ったので,その子の意見をピックアップして全体共有しました。すると,「消しゴムでも測れそう」という意見も出てきました。そこから,手や消しゴムでは長さがバラバラだから,みんなが同じ長さで測れるものとしてものさしがあるねと,普遍単位の必要性に気付かせました。

 昨年度までは,どのようにして学習課題に没頭させるかを考えていました。そこから,ゲームをする子どものように,没頭させるためには,愛着や興味など,「やってみたい」というポジティブ感情をどのように高めるかが重要だと思っているところです。このポジティブ感情がないまま,学習課題に出会わせると,算数嫌いにつながるのかも知れません。

 今回はカエルを作るという愛着から,「跳ばしてみたい」というポジティブ感情に働きかけました。このように,学習課題や問いが子どもに心地よい負荷となるように,没頭の前段階の場面でしっかりとポジティブ感情に働きかけることも視野に入れて,授業を構成していきたいと思います。
(山本)

子どもとつくる授業〜ひき算の筆算〜
2022/05/19
 今年度,本校で3回目の2年生を担任することになりました。今までと同様の授業展開でうまくいったこと,いかなかったことなど,子どもからたくさんのことを学んでいる毎日です。

 5月前半は単元「2けたのひき算の筆算」の授業を行いました。繰り下がりの授業をどのように展開していくか悩みました。計算の考え方としてブロックを用いて説明するか,実生活にある硬貨を用いて説明するか悩みました。1年生からの学びの系統性を考えると,教科書にも載っているようにブロックを用いる方がよいと思います。ただ,ブロックだと10のまとまりではなく,バラが10個集まっていると捉え,十の位から1繰り下がるではなく,10のバラが繰り下がっていると見えてしまい,困惑してしまう子もいるのではないかと。迷った挙句,子どもから「ブロックで考えたらいいよ」という発言があったので,ブロックで考えさせました。しかし,予想していたように,ブロックだと困惑していた子もいました。そこで,困惑していた子には,10円玉が一の位に移動するときに1円玉10枚になると,図を使って両替で説明すると腑に落ちたようでした。子どもの学習状況に合わせて,子どもにとってわかりやすいように具体物や図などを使い分けることの大切さを実感しました。

 もう一つ悩んだのが,筆算の計算手順の説明です。私は,2年生の間は繰り下がりの際,下位の数字の上に10をかかせるようにしています。2年生だと計算が苦手で指で数えている子もよく見かけるため,1年生で学習した10から引く計算を生かせば,計算が苦手な子も常に10という,計算しやすい固定数から引くことになるため,計算しやすくなるのではないかと考えています。しかし,その計算方法だと,引いてから足すという2つの異なる演算をしなければならないため,余計に難しくしてしまうのではないかとも悩みました。そのとき,ある子が「○個残っているからかぁ」という発言をヒントに言い方を工夫してみました。例えば,10から6引いて4を足して8という言い方ではなく,10から6引いて元々4個あったので8というような言い方にすると,同じ意味なのですが,子どもにはとって2つの演算をしたという抵抗感はなく,すんなり理解していました。

 このように,日々クラスの子どもを想像しながら「この子たちなら・・・」と子どもに合った授業の手立てや言い方を大切し,何より子どもと一緒に授業をつくっていくことを楽しんでいきたいと思います。
(山本)

日常生活に生かしてこその算数!日常事象に戻す割合指導
2022/02/24
2月11日(金)に,第1回 小中一貫教育研究協議会(オンライン)を行いました。参会してくださった先生方,大変ありがとうございました。「日常事象に戻す」をテーマに,実際の広告に書かれている割引「50%OFF+20%OFF=60%OFF」を題材に行った授業の動画を見て頂き,研究協議を行いました。50%OFF+20%OFF=?は,百分率を学び始めたばかりの子どもにとっては難しいものでした。研究協議の中で参会者の先生から「子どもたちは,どのように%を捉えていたのでしょうか?」と御質問を頂き,私もはたと気付きました。「そうか,倍に戻って考えさせればよかったのか!」
実際の広告を活用する方法に私も可能性を感じています。更なる授業改善を行い,割合克服カリキュラムにも位置付けたいと思っています。(兼安)

割合克服カリキュラムを活用した系統的な割合指導
2022/02/08
長年の思いが実を結び,先日,やっと割合克服カリキュラムを完成させることができました。
割合の学習を4年生や5年生だけに任せるのではなく,その素地的内容や意味について1年生から着実に積み上げていってほしいという願いを込めて作りました。ある出来事がきっかけとなり,この割合克服カリキュラムを作成することにしました。今回の研究協議会で,その出来事について紹介したいと思っています。また,このカリキュラムについて御意見をいただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。(兼安)

研究協議会の御案内について
2022/02/02
 2月11日の小中一貫教育研究協議会では,今年度から新たな研究主題を「well-beingにつながる学び」とし,1期となる今回は「教科の本質に迫る授業づくりを通して」についての発表について協議していきます。
 well-beingって何だろう?必要なの?と思いますよね。そもそも「well-being」とは,幸福で肉体的・精神的・社会的すべてにおいて満たされた状態を言います。グローバル化が進む今後は,さまざまな考え方やバックグラウンドを持った人とコミュニケーションをとる機会が増えていくはずです。その際に,それぞれの資質・能力をフルに発揮させ、コミュニケーションを円滑にとるには,多様性を認めることとウェルビーイングが必要だと考えられています。
 そこで,本学園では,教科等の本質に迫る授業で身に付けた資質・能力を子どもが発揮することができれば,社会が抱える複雑で困難な課題を解決していくことができるのではないかと考えました。
 今回の発表では,第4学年の「面積」で数学的な見方を働かせることに着目してみました。みなさんも仕事や人間関係で複雑で困難な課題に直面した経験はありませんか?「手間のかかる仕事で大変だなぁ」「あの人は悪口ばっかり言ってくるから嫌だなぁ」など。でも,見方を変えるとどうでしょうか。もしかしたら,手間のかかる仕事もパソコンのエクセルを使えば簡単にできることもあるかもしれません。悪口を言ってしまう人も見方を変えれば,いろいろなことに気付きやすい人でうまく言い方を変えたら,心強い味方になってくれるかもしれません。
 面積では,「図形」の領域だけでなく,「測定」の領域も大きく関わっているから,子どもは難しく思えるのではないかと考えました。そこで,L字型の合成された面積を求める場合では,2つの領域をしっかりと分けて,図形としてどう見えるかという見方をしっかり育ててから,「測定」となる面積を求めるようにしました。また,求めることができた図形と比較して,求めることが難しい図形に対して,見方を変えてどこに着目したらよいか,どのように変形したらよいかといった手立てを講じました。
 そのような子どもが,左の写真ような,辺の長さがわからない正方形の面積をどのように求めたのか,その手立ては効果的だったのかなど,一緒に協議しながら考えていけたらと思います。
(山本)

割合こそ量感を育てよう!ICTを活用したイメージを伴う割合指導
2022/01/28
ある子が「半額ってイメージできるけど,20%引きとか小数で考えるとよく分からなくなるよね。」と発表すると「うんうん,そうだね。」とまわりの子が頷きます。
「あ〜。ここに割合克服のポイントがあるのか〜。」と子どもたちの気持ちを楽しく聞かせてもらいました。
イメージ力を高めるために,2本数直線図やテープ図を多用しています。更に,今年度は初めて,私が思い付いた「簡易帯グラフ」の活用にチャレンジしてみました。帯グラフや円グラフを詳しく学ぶのは後々のことになります。がその前に,細かい目盛りのない「だいたいこれくらいだろう。」でタブレットを使って表す「簡易帯グラフ」を開発し,活用してみました。
結論から言いますと,子どもたちの必要感とマッチせず「これいいね!」と使ってもらえていない状況です(残念)。ただ,可能性は感じています。定着場面の繰り返しクイズ等で,もう少し活用してみようと思っています。そんな様子も,2月11日の協議会で御紹介できたらと思っています。
2月11日(金)は,第1回 小中一貫教育研究協議会(オンライン)です。
「well-beingにつながる学び(1期) 〜教科等の本質に迫る授業づくりを通して〜」の研究テーマのもと,割合の苦手意識を払拭するような授業を目指し,単元「見た目で判断するのは危ないぞ(第5学年)」の授業を提案できればと思っています。御都合付けば是非お越しください。お待ちしております。(兼安)

子どもたちに言わせたい,割合って楽しいな!
2021/12/22
5年生は,いよいよ割合の単元に突入しました。2月11日の小中一貫教育研究協議会はこの割合を使った問題で授業を見て頂こうと思っています。是非,御参会いただければと思います。
さて,この割合は,学習指導要領でも「基準量,比較量,割合の関係を正しく捉えること」が課題として指摘されているように,なかなか難しい単元といえます。私は,附属光小に着任してから4年間,割合の指導法について自分なりに研究を進めてきたつもりです。その中で,幾つかの改善法を考え取り組んできました。今年度後期は,その集大成として御紹介していきたいと思っています。
トピックス内でも,これから3回にわけて,少しずつ発信していきます。
第一弾…「割合こそ量感を育てよう!ICTを活用したイメージを伴う割合指導」
第二弾…「割合克服カリキュラムを活用した系統的な割合指導」
第三弾…「日常生活に生かしてこその算数!日常事象に戻す割合指導」
現在第一弾を作成中です。近々発信しますので,少々お待ちいただければと思います。(準備をしていると割合って楽しい!と思う今日この頃。子どもたちにそう思わせないといけないなと反省)(兼安)

限定から始める図形の世界〜中四国大会の発表〜
2021/11/24
 先日,機会があって中国・四国地方で行われる算数・数学教育研究大会に,山口県の小学校の教員を代表してオンラインにて発表を行いました。
 発表の内容は,「限定」した方が内容がわかりやすく,学ぶべき内容が明確になる。そうすることで,子どもがきまりに気付いたり,考えを深めたりしやすくなるという,手立てについて提案しました。
 実際の授業として,今の4年生と3年生が,それぞれ2年生だった頃の授業の写真や動画を紹介しました。最初は単元「三角形と四角形」の図形の敷き詰めの授業を紹介しました(左の写真)。発表するにあたり,いろいろな先生からいただいた助言の中で,図形を集め直したくなるように仕掛けることで,図画・工作科としてではなく,算数科としての図形の美しさを子どもに感じさせることができたのではないかと教えていただき,また一つ勉強になりました。(中央の写真は集め直したと仮定すると,出来上がる模様です)
 次に,単元「はこのかたち」で箱を組み立てるのに必要な辺や面の関係について調べた授業について紹介しました。この授業は空間認識能力がまだ乏しい子どもにとって,6面全部で考えると難しいと思い,5面に限定したらきまりを見付けやすいかもと思い,行った授業でした。実際,子どもがいろいろな箱の面の組み合わせを見付けることができました。(右の写真)
 4月からどのような発表しようかなと考えたり準備を進めていくうちに,授業で子どもが気付くための手立てについて,感覚的で曖昧だった手立てが明確になっていきました。「あぁ,だからあの授業はうまくいったのか」と自分の授業を振り返るよい機会となりました。
 発表後にたくさんの参会者の方にお褒めの言葉をいただきました。他の内容の授業でも限定すると効果的な手立てとなる場合があるので,ぜひ試みていきたいと思います。何より,今回の経験や称賛を,写真や動画の中で頑張っていた,主役の子どもたちに授業で返していきたいと思います。(山本)

使いこなそう!2本数直線図
2021/11/22
混み具合や速さなど,単位量あたりの大きさを考えるときは,図に表すと式がたてやすいという経験を積み重ねていくことが大切だと思っています。
例えば,「6mの重さが360gの針金の1mあたりの重さは何gですか。」という問題に対して,子どもは@の様な図をかき,「6mは1mの6倍だから,1mあたりを求めるには6でわればよい。だから,重さも同じように,□の6倍が360gだから,360を6でわれば□の重さが求められる。」と説明できるようになってきました。6月にしっかり頑張った成果がでてきたと私は嬉しく思いました。
6月では,小数のかけ算や小数のわり算の単元で,この2本数直線図を使いました。例えば,「2.4mの代金が600円のリボンの1mの代金は?」で使いました。600÷2.4の式を見ていた子どもから「あれっ?小数でわってもよいの?」と問いが生まれ,「代金÷長さ=1m分の代金だからいいんじゃないの?」と別の子どもが答えるものの,「代金を長さで割るって変じゃないの?」と,どうしてもモヤモヤが残る会話が続きました。
小数でわる意味をはっきりさせるためには,「1m分の代金を□円とする。2.4mは1mの2.4倍だから,代金も同じ様に□の2.4倍となる。よって,□×2.4=600という式を立てることができ,その□を求めるために600÷2.4という計算になる。」と筋道立てて説明していく必要があるでしょう。このようにすれば,1m分の代金を求める式はわり算でいいのだという納得ができるようです。その際に役立つのがこの2本数直線図のはずでした。
が,初めて使うこの2本数直線図に,6月の子どもたちは,かなり手こずらされていました。そのことを思い出すと,随分と活用できるようになってきた子どもたちを頼もしく思いました。
今後も,この様な学習を積み重ね,2本数直線図を,子どもが演算決定を行う際の「思考の道具」として有効に活用できるようにしていきたいと思っています。(兼安)

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