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三角形と四角形の構成要素に着目して
2023/11/09
R5全国学習状況調査で,全国的に図形の問題の正答率が低いことが分かっています。特に平行線の中にできた2つの三角形の面積は同じ面積ですかという問題です。三角形の面積を求める公式は,底辺×高さ÷2ですね。なぜ今回正答率が低かったかというと,図の中に底辺の長さは書いてあり着目することができました。しかし,高さは書かれておらず,かわりに周りの辺の長さが書いてあり,その長さを高さと勘違いしてしまったのです。
 2年生では,『三角形や四角形,正方形,長方形,直角三角形について,図形を構成する辺や頂点の数に着目し,図形を分別することを指導する。また,身の回りにある箱の形をしたものを取り上げ,立体図形について理解する上で素地となる学習を行う。基礎となる図形を構成する要素に着目し,それを基に考えていく態度を養う。』と,学習指導要領に書かれてあり,R5全国学習状況調査で間違えてしまった図形を構成する要素の一つである辺について,2年生では着目させる必要があるのではないかと考える。(高さは5年生で出てくるので,ここで教える必要はない。)
 わたしは,図形を構成する要素をおさえるために,どんなところを見て○○さんは考えたの?と,常に着目するところをクラスで共有できるよう発問した。また,図形の共通点や相違点を常に意識させ,授業を展開していった。
 1時間目では,「動物を囲もうゲーム」を行った。囲み方について友達同士での意見交換の際に「なるほど,そんな囲み方もあるのか」「すごい!」という声が多く聞こえた。そこで,「何がそんなにすごい!と感じているの?」と問うと,「直線が1本少なくても囲むことができている」「僕は,四角で囲んでいるのに,〇〇さんは三角で囲んでいる」と,図形を構成する要素の1つである辺の本数の違いや囲んでいる形の違いに気付くことができたのである。
 2時間目では,子どもたちが動物を囲んだ形をそのまま生かし,仲間分けを行った。「これはこっち,これはこっち」と始めはわたしが理由も言わずに分けた。「これはどっち?」と子どもに聞くと,「こっち」とか「三角の仲間だよ」と言う声が聞こえてきた。そこで今度は,子どもに袋から図形を一つ取ってもらい,仲間分けを行った。その際,「なぜ〇〇さんは,三角の仲間に分けたのかな?」と違う子どもに問った。そうすることで,仲間分けを行った子どもの考えを学級全体で共有することができ,三角と四角の構成要素に着目できるようにした。
 3時間目は,辺や頂点の概念形成を培う授業を行った。その後,好きなように三角形や四角形をかかせると,三角形の中に三角形をいくつもかき,素敵なデザインを作成していたり,四角形と三角形を組み合わせて,面白いデザインをかいたりしていた。
4時間目は,三角形と四角形を1本の直線で2つの形に分けると,どんな形ができるかを授業で行った。導入部分で,「ショートケーキを友達と分ける時にどんな風に切ってわける?」と問うと,私は,ホールの中心から外側に切るように切って,2つに分けるだろうと思っていたら,全く違う切り方で,横に切ってしまった。すると,子どもたちが,「イチゴが下の方の人は少ない!」と言って,私が「えっ?下ってどういうこと?」と問うと,ある子が掲示の形をなぞりながら「ここです」とみんなに伝えると,「その形,四角形に似ているね」と子どもから発言があり,私の思った形ではなかったが,形に着目することができた。そこから,三角形を2つに分ける活動を行うと「このように直線を1本入れると同じように三角形と四角形に分けることができます」と子どもたちの方からどんどん発想が生まれ,授業が展開されていった。すると,「末弘先生,三角形を2つに分けたら,三角形と三角形ができた」という声が聞こえ,「えっなんでそんな2つのパターンがあるの?」と問うと,何か分け方に違いがあるのではないかと,子どもたちは友達と分け方を比べ始め,共通点を見つけ出そうと一生懸命探していました。なかなか見つけることができそうになかったので,私は黒板に子どもが分けた2つのパターンをいくつも提示すると,直線の引きはじめと引き終わりに着目することができた。辺から辺に直線を引くことで三角形と四角形に分けることができることに気付くことができ,頂点から辺に直線を引くことで三角形と三角形に気付くことができた。私は何気なく黒板に,子どもたちの考えを貼ったが,次回はきちんと子どもの考えを整理するための方法として活用していきたい。その後は,四角形を2つの図形に分けることにも取り組んだ。そうすると,すぐに,三角形と四角形ができるパターンと四角形が2つできるパターンの線の引き方を見つけることができた。しかし,三角形が2つのパターンの分け方がなかなか出てこなかった。しかし,ある子どもが板書で赤色や黄色で囲んでいる所を見て,「先生,頂点から頂点までも線が引けるんじゃないかな」と言う発言が生まれた。その発言から早速実践する子どもたちが多くいた。三角形が2つ出来た子どもの驚きの顔は今でも忘れられない。
 図形を構成する要素に着目させる活動を取り入れることで,自分たちの力で課題を達成することができたり,新たな発見をしたりすることができた。また,図形の共通点や相違点を常に意識させ,授業を展開することで,子どもに数学的見方・考え方が働き,目を輝かせ,前のめりになって取り組む姿が多く見られた。

『水のかさ』で単位の必要感をもつことができるために
2023/09/14
『水のかさ』では,mL,dL,L,の基準の必要性をもつことができるように授業を展開しました。子どもたちは,『長さ』の単元でも,p,mの基準があることは知っています。しかし,本当に基準の必要感を子どもたちがもつことができたかについては,不透明でした。そこで,もう一度,なぜ基準があるのか,子どもたちに考えてほしくて授業を仕組みました。
 1時間目では,Bの容器より見た目の大きなAの容器と,Aの容器より見た目の小さなBの容器の2つを準備しました。子どもたちの予想はもちろんAの容器の方が,水のかさが大きいと言っていました。しかし,子どもの中には,「末弘先生のことだから,見た目に騙されず,Bの容器の方が水のかさが大きいよ」という子どももいました。「どのように比べたら分かるの?」と問うと,直接比較の方法を提案してきたので,その方法で比較すると,Bの方が水のかさが大きく,びっくりしていました。
 2時間目では,間接比較のコップを使って比べたいという子どもの思いが1時間目の終わりにでてきたので,わたしが実際にコップを使って実践したのを次のように提示してみました。「Aの容器がコップ15杯分でBの容器がコップ10杯分です」。すると,子どもたちの反応が予想通りで,「えー,そんなことはないよ」「だって,昨日Bの方が水のかさは大きいって比べたでしょ」というものでした。そこで,わたしは,「でも,コップを使って比べたよ」と子どもに返すと,こんな結果になるはずがないと反応していました。なぜだろうと子どもたちが考えていると,ある子どもが,「先生,計ったコップ見せて」と発言してきました。「Aはこのコップで,Bはこのコップです」というと,「えっ!!コップの大きさちがうやん」と気付き,「同じ大きさじゃないとダメだよ」と発言したので,「なぜ,そう思うの?」と問うと,「同じコップでないと比べることができないよ。だって基準がちがうよ」「ちがうコップだと,1杯分の水のかさがちがうよ」と発言してくれました。そこで,同じコップで測りなおし,Bの容器のかさの方が大きいことを確認しました。「今回はこのコップで比べたけど,みんな世界の人は,このコップで水のかさを比べるの?」と問うと,「違います。そんなコップみんな持っていません。何か,長さのように,基準の単位があるはずです」と発言してくれました。
 今回の授業で子どもは,基準が違うとこんなに水のかさを比べる際に違いがあることを実感することができました。また,子どもの発言からも分かるように,長さの単元で勉強した単位の必要感を改めて感じることができたのではないかと考えます。

今年度からよろしくお願いします。
2023/04/19
 今年度,新たに算数科を担当します,末弘成孝(すえひろ のりたか)と申します。2年生の担任もさせていただきますので,よろしくお願いいたします。

 本学園では,みなさんご存じの通り,「well-beingにつながる学びの実現」を目指しています。今期は特にwell-beingの実現に向かうための原動力(エンジン)となる「エージェンシー」に着目した研究を行っていきます。では,そこに何をプラスして研究を私が進めていくかと申しますと,算数科における「問い」です。
 
 私は「問い」は,二種類あると考えています。一つ目は,類推的な思考につながる問いです。二つ目は,授業中に子どもが何をしていいの分からない状態から少し前進させる「問い」です。
この二種類の「問い」を関連付けて研究を進めていきたいと思っています。

 その「問い」を引き出すためにも,しっかり問題の提示の仕方の工夫も研究してご紹介できればと思いますので,よろしくお願いします。

御礼,小中一貫研究協議会
2023/02/16
小中一貫研究協議会へ御参会いただいた先生方,誠にありがとうございました。
先生方の御質問の中に「動画の中で,エージェンシーを発揮していた姿とは?」がありました。
附属光小・中の算数・数学部では,「エージェンシーを発揮する」=「数学的活動を遂行する」と捉えています。つまり,先ほどの質問は「授業の中で,どのような数学的活動が遂行されていたのか?」という質問に置き換えられると捉えています。数学的活動とは,「事象を数理的に捉えて,算数の問題を見いだし,問題を自立的,協働的に解決する過程を遂行すること」です。この数学的活動が,本時では,どのように遂行されていたのでしょうか?
兼安の解釈と共に振り返ってみたいと思います。
振り返り方としては,写真1のように「子どもが問いをつかむ」までを数学的活動@の段階,「子どもが問いを自分たちなりに解決する」までを数学的活動Aの段階,「子どもが新たな問いを見いだす」までを数学的活動Bの段階と3つの段階に分けて,本時のどういった場面が,写真1のどの段階に相当するかを考えていきたいと思います。なお,Tは教師の発言,Cは子どもの発言です。
この授業では,まず,修学旅行で訪れる京都の地図を見せて,子どもの興味を喚起した後,写真2のように簡略化した京都の地図を見せ,T「青丸から赤丸までの最短ルートはどの道か?」と尋ねました。この問題は,教師から子どもへと問うています。ただ,どの子どもも「最短ルートは,どこかな?」と思い,一斉に考え始めたので,私は「子どもの問いになった。」と判定し,数学的活動@の段階を遂行していたと捉えています。次に,一人の子どもに最短ルートを発表させた上で,教師がT「これだけ?」と尋ねると,子どもたちの手が一斉に挙がります。全てのパターンを考えるということは,算数・数学にとって,とても大切な見方・考え方であり,子どもに育みたい能力です。そうした気もちにさせる上で,T「これだけ?」という発問は効果的です。それらを通して,子どもからC「どれだけ試しても,もうこれ以上はない。」とT「全部で6通りだね。」と確認できました。この辺りまでが,数学的活動Aの段階を遂行したと私は捉えています。
次に,今の結果から算数の学習内容を発展させるように仕向けていきます。「2段の2列から,2段の6列に増やした場合を考えることはできないかな?」です。子どもが,このように内容を発展させてくれると最高なのですが,将来,子どもたちが自ら発展させる姿に願いを込めて,今回は教師がモデルを示しました。ここが,数学的活動Bの段階の遂行だと私は捉えています。
子どもは写真2のように新たな問い「2段の6列の場合,最短ルートは何通り?」をつかみ,考え始めました。本時2回目の数学的活動@の段階の遂行場面です。式で考えようとする子どもがいます。C「2段2列が6通りだから,その3倍の18通りではないかな?」C「いやいや,6通りの6倍の36通りではないかな?」C「6×6×6で216通りだと思う。」勿論,2段2列の時のように,全ての場合を書きだそうとする子どももたくさんいます。
5分過ぎたところで,みんなの考えを共有する時間をとります。この辺りが本時2回目の数学的活動Aの段階の遂行場面だと捉えています。式で考えた子に対して,C「本当にそんな(216通り)にあるのかな?」と疑問をぶつける子ども。でも,複雑すぎて全てを数えあげることができずに,216通りは間違いであるとは証明できない子どもたち。教師が,子どもたちの悩みを言語化します。T「式はたくさんあるんだよね。でも,それがあっているかどうかを確かめる術が無いんよね。困ったね。」そして,これからの学びの方向性の決定付けを子どもたちに委ねます。T「今までの算数を使って,何とかこの状況を突破できないかな?」
子どもたちは一斉にノートを振り返りながら,参考にできそうな考え方を探し始めました。そうする中で,C「前の学習でやった表,表が使えないかな?」というつぶやきが聞こえ始めました。そこで,私は,この子どものつぶやきを,更なる問い「表が使えないかな?」というアイデアとしてクラス全体に提案・共有しました。この辺りが本時3回目の数学的活動@の段階の遂行場面だと私は捉えています。自分たちで見付けた解決結果に妥当性が見いだせず,困惑することは,これからの人生においても多々あることと思います。そうした時こそ,別の視点から突破するためのアイデアを出していくことがとても大切だと思っています。
学びの方向性が表を使うことに決定したので,T「例えばこのアイデアを使うなら,表の項目は何にしようか?」と聞いてみます。すると,C「上の段を列の数にしたらどうかな?」と答える子どもがいます。C「じゃあ下は,通りか…。」C「ルート数ということだね。」と項目が埋まっていきます。列数も2列は6通りとわかっているので,その前後の1列,3列,4列の時のルート数を考えていくことになりました。
C「待って!待って!自分でやる!やってみたい!」と,子どもたちは自分の力で表をまとめようと頑張ります。この辺りからが,本時3回目の数学的活動Aの段階の場面になると私は捉えています。
5分程度の自力解決後,集団解決です。実演を交えながら,C「1列の時は3通り。」を確認します。T「2列の時は,さっき調べた6通りでいいね。」と教師が確認すると,C「3の倍数」と子どもはつぶやきます。T「3列の時は?」と尋ねると,C「9通り!」とほとんどの子どもが答えます。そこで,実演させてみたのですが,なかなかスムーズに数えることができません。2人目にも数えさせましたが,上手く数えることができません。3列目から難しくなるようです。もう一度ここで,数え直す時間を設定しました。その上で,T「9通りだったよ!という人?」と尋ねると,クラスの3分の1程度が手を挙げました。本時の残り時間も少なかったので,ここは教師の出番と捉え,私が実演しながら数えました。子どもたちが,なかなか順序よく数えることができていなかったので,私はモデルを示す意味で右側から順序よく数えてみせました。T「…7,8,9,10」となると,子どもたちはC「えっ?えっ?あれっ?」と不思議がります。C「先生,同じところ2回数えてるよ。」と言うので,もう一度,ゆっくり実演をしてみせ,10通りであることを確認しました。
(残念ながら,ここで45分終了。続きは明日へと持ち越しとなりました。)
2段3列の場合が,10通りであることが信じられない子どもが多いので,全てのパターンを描き出させることから,次の日はスタートしました。全てを描きだすことで,9通りだと信じていた子どもたちは驚きながらも認めていました。ここで,1列3通り,2列6通り,3列10通りとわかったので,私は子どもたちに尋ねてみました。T「4列目に入る前に,規則がここで見えてくると良さそうなんだけど,見えそうか?」と尋ねてみると,一人の子どもだけが猛烈にアピールします。T「一人だけがわかってそれを聞いても,周りの人の気付くチャンスがなくなるので,ここでは聞かないことにするね。ただ,4列目は何通りになると思いますか。」C「15通りですね。」T「調べてみよう。」ということで,2段4列目は15通りなのかを調べることになりました。
2段4列の全てのルートを描き出す作業は,とても時間がかかりました。時間はかかりましたが,全てのルートを描き出し,順序よく並べることで,C「どう考えても15通りだね。」と,写真2のような表にまとまり,どの子どもも納得することができました。
その上で,私はT「きまりは,見えてきましたか?」と尋ねます。何人かは気付いたようです。1人を指名すると,C「ルート数が3から6になるときにプラス3で,6から10になるときにプラス4で,10から15になるときにプラス5になっている。」C「そうか!」「そういうことか!」C「ということは5列のときはプラス6になって21通り。」C「6列のときはプラス7になって28通りだね。」T「あの発展した問題である2段6列のときは,28通りだったんだね。」とようやく解決することができました。こうして,本時3回目の数学的活動Aの遂行が終了したと私は捉えています。
私は,この後の,またまた新たな問いにつなげていくことが大切だと思っています。そこで,子どもたちに次の様に促しました。
T「この見付けたきまりを□や△を使った式に表せないかな?」
T「2段6列の先の2段7列,2段8列になったら何通りになるのかな?」
T「2段を3段や4段に変えるとどうなるんだろう?」
ここからは,子どもたちの興味に応じた一人数学的活動の時間の始まりです。つまり,本時3回目の数学的活動Bが遂行され,4回目からの数学的活動は各自が自分の興味に応じて遂行していくのです。3枚目の写真は,ある子どもの4回目の数学的活動の成果です。

本時では,3回程度の数学的活動が遂行され,4回目の数学的活動は子どもたちに委ねることができたと私は判断しています。そのことから,子どもたちはエージェンシーを発揮していたと私は捉えています。ただし,一人ひとりの子どもを見つめるとどうなのか?私も正直自信はありません。来年度以降の研究大会で実際に来ていただき,見ていただき,先生方からの御意見を頂くことでしか,子ども一人ひとりの数学的活動の遂行の仕方を捉えきることはできないだろうと思っています。是非,来年度は附属光学園に足を運んでいただけると幸いです。
私は,自分の興味が続くかぎり,この数学的活動のサイクルを回していける子どもを育てていきたいと思っています。そうすることで,子どもたちのエージェンシーを発揮する子どもを育てていきたいと思っています。今後とも御支援・御協力をいただければと思っています。超・長文お付き合いいただきありがとうございました。(兼安 陽一朗)

算数科ならではのICTの効果的な活用とは?
2023/01/10
令和5年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて,今年度の私のテーマの一つとして,「算数科ならではのICTの効果的な活用」がありました。私がこだわってきたのは,算数科ならではのICTの活用です。どの教科でも使える方法だけではなく,算数科ならではの活用方法や場面を探ってきたつもりです。この1年間を通して,学習内容の抽象度が高い算数科だからこそ,理解を促進させるための効果的なICTの活用方法や場面があると思うようになりました。
私の心に残った3つの活用方法や場面をランキング形式で紹介したいと思います。
第3位 4年面積「1平方キロメートル」
 平方センチメートルや平方メートルは,その大きさを実感させるために,実際につくらせ,触らせ,遊ばせてきました。それに比べて,「平方キロメートルでは,遊ばせることは難しいな〜。」と毎年思っていました。でも,ICTを使えば実感させることができたのです。写真1のように,タブレットにマップを取り込ませ,その地図上に一辺1qの正方形をつくらせました。子どもたちは,「1平方キロメートルって御手洗湾ぐらいなんだね。」としみじみ感じ取っていました。実際につくれないものもICTを活用して作成すれば,少しでも実感することができると思いました。
第2位 6年「拡大図と縮図」
 10月3日のトピックスでも紹介した拡大図と縮図の導入場面での活用です。詳しくはお読みいただければと思います。
第1位 5年「割合」
 割合の意味の指導においては,量で比べる場合と割合で比べる場合の違いを明らかにすることが大切だと思います。(量で比べる図)から(割合で比べる図)へと変化していく様子を,子どもに視覚的に訴えることができれば,その二つの違いをより明らかにすることができると私は考えました。そこで,(量で比べる図)から(割合で比べる図)へと変化していく様子を,プレゼンテーションアプリを用いて子どもたちに体感させ,その二つの違いをより鮮明に捉えることができるようにしました。(詳しくは,日本文教出版の「my実践事例:小学校算数No.020」を御覧ください。)
ICTを使えば,「紙面上では動かないものも,ICTであれば動く様子まで見せることができる。そして,それが強みだ。」と私は思うようになった実践でした。

これからも算数科ならではのICTの使い方を一つでも多く見付けたいと思っています。

教生先生ありがとうございました。
2022/11/09
先日,教育実習が終わりました。
教生先生が取り組まれた,第6学年「比例と反比例」の導入場面について御紹介いたします。

まず,教生先生は,それぞれ伴って変わる2つの量を探す際に,イラストではなく,動画を見せて探させました。子どもたちは,動画を見ることにより,時間がたつにつれて,水の深さが深くなったり,火をともしたろうそくの長さが短くなったりしていく変化の様子を,よく捉えることができたようです。教生先生も,火のついたろうそくを30分以上かけて撮影・準備した成果が子どもたちの反応にあらわれ,満足そうでした。

次に,動画から見付けた2つの量,@「時間と水の深さ」,A「時間とろうそくの長さ」,B「弟の年齢と兄の年齢」,C「面積24平方センチメートルの長方形の横の長さと縦の長さ」とペアになる表を探す活動を行いました。
教生先生は,いきなり全ての表を見せるのではなく,一つずつ,しかも一列ずつ見せていかれました。子どもからは,「この表は,上と下をかけて24にならないからCではないね。」「次の列で減ったら,今度の表はAだよ」など,たくさんの発言がありました。一列ずつ見せることにより,子どもは表を縦に見たり,横に見たり,いつも以上に数学的な見方・考え方を働かせていたように思います。

最後に,表の空欄部分を埋めながら,その根拠を説明することで,表の変化の特徴についてみんなで確認しました。

6年1組の教生先生は,子どもに力がつくように,教材や発問にたくさんの工夫をしてくれました。そのおかげで最後の授業もとても充実した心に残る時間となりました。大変感謝しております。

素敵な8日間を,大変ありがとうございました。(兼安)

飛び込み授業!
2022/10/04
今年度から,授業アドバイザーの際に,附属の先生が飛び込み授業をするというオプションが増えました。興味がある先生方は,気軽な気持ちで兼安まで御相談ください!今回はその様子を御紹介します。

先日,柳井市立新庄小学校で, 5年生に飛び込み授業をする機会をいただきました。たくさん発表したり, 友達の意見をしっかりと聞いたり,一生懸命に取り組む子どもたちばかりでした。充実した時間になり,うれしく思っています。おこなった内容は,算数科「単位量あたりの大きさ」の第1時です。
最近の子どもたちは,「密」という表現を用いて,混み具合をとらえる経験を十分にしてきています。とは言え,数値化して混み具合を比較する経験は,ほとんどありません。そこで,日常の経験を数学化していくことを一番の目標とし,「密」を「混んでいる」という表現に置き換えながら,混み具合について考えていきました。
授業の中で,特に私が感心したのは,子どもたちが聞かせてくれた語り初めの言葉です。
「だって,・・・。」「でも,・・・。」「じゃったら,・・・。」「その傾向から考えると,・・・。」「もしも,・・・。」と実に多岐にわたりました。 そこから紡がれた子どもの発言は,例えば,「じゃったら一人ひとりの空間を作ってみたら。」「もしも,シートが2枚だったらBの方が混んでいるとわかるよ。」などでした。どの語り初めの言葉からも,素敵な数学的な考え方が紡がれていました。私は,「このクラスの子どもたちは,日頃から担任の先生と授業に真剣に取り組み,頑張っているのだろうな。」と感心し,とてもうれしくなりました。
これからも算数を楽しみ,たっぷりと考える新庄小学校のお友達でいてくれることを願っています。どうもありがとうございました。(兼安)

拡大図と縮図
2022/10/03
拡大図と縮図の導入の場面で,私は悩んでいたことがありました。
これまで「大きさが違っていても,形が同じものを調べよう」と子どもに問いかけ,教科書の図や配ったワークシートを使って調べさせてきました。この方法だと,子どもは直観的に認めるということが精一杯となります。困った子どもの答えの一つに,「対応する辺の長さの比がすべて等しいから。」というものがあります。ただ,この答え方では,相似な図形の性質を説明しているのであって,定義の説明にはなっていません。
もう少し詳しく説明します。5年の合同な図形であれば,「ぴったり重ねあわせることができる2つの図形は合同である。」と定義づけ,その後に,「合同な図形では,対応する辺の長さや角の大きさはそれぞれ等しい。」と性質をまとめます。しかし,6年の拡大図と縮図では,「大きさが違っていても同じに見えるものは,縦にも横にものばしたもの。」と定義づけし,その上で,「対応する角の大きさと,対応する辺の長さの比がすべて等しい。」と性質をまとめたいのに,子どもは定義を性質で説明しようとしたり,定義づけがどうしても子どもの直観的な認知に委ねられたりという点に課題をずっと抱えていました。
それを突破するアイテムが一人一台タブレットでした。これを使えば,原図を切り取り,ピンチインやピンチアウトをすれば合同になることを説明できました。そのことから,「大きさが違っていても同じに見える図形とは,縦横同時に図を伸ばしたり縮めたりして合同になる図形」と子どもたちの納得の基,定義づけることができました。
算数科ならではのICTの使い方を一つ見付けたような気がして嬉しく思います。今後も,そのようなICTの使い方を一つでも多く発見していきたいものだと思っています。(兼安)

御礼 授業づくり研修会
2022/06/22
本日は,令和4年度「算数科」授業づくり研修会が行われました。多数,御参会いただき大変ありがとうございました。
私からは,「算数科の授業づくりの初めの一歩」と題して「問いの重要性」と「誰一人取り残さない学び合い」について話させていただきました。「問いの重要性」については,子どもの問いの引き出し方を,実際の子どもの誤答と結び付けた実践事例を使って御紹介させていただきました。また,「誰一人取り残さない学び合い」については,3つの私の手立て「@友達の発言内容を確認し合うためのペア(トリオ)対話,A語り始めの言葉を示して無理なく自然に表現変換,B友達にヒントを出して一緒にアハ体験」を,動画を用いながら御紹介させていただきました。
今回,特に勉強になったのは初任や二年目の先生方からの御質問でした。「算数科では図や表をかかせる場面がありますが,それをかく必要感はどうやってもたせたらいいのですか。」「ペア対話ができにくい状況で,授業が活性化する方法はありませんか。」「複式のよさの生かし方や算数科の本質に迫る複式授業の作り方」等々です。本当に勉強になりました。今回,御回答させていただいたことを,もう一度私なりに整理し直し,今後の授業アドバイザー等で生かしていきたいと思いました。
貴重な学びの時間を本当にありがとうございました。(兼安)

かたむき分度器
2022/06/20
4年生の「角と角度」の学習で,身の回りのいろいろなところから角を見付けて,かたむき分度器を使って,角の大きさをはかってきました。子どもたちは,ブランコや階段の手すりなど様々な角を調べていました。手すりの高い位置と低い位置をはかり比べ,「高い方が大きいと思ったけど違った。同じなんだね。」と気付いている子どももいました。学級で改めて子どもたちに問いたい気付きだと思いました。
自分で調べたいものを見付けて,何度くらいかを予想し,実際にはかってみる。このような活動を,どの子どもも自立的に進めさせる。そのためには,「問いが重要である。」と問いの重要性を改めて感じさせられた時間になりました。(兼安)

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