光小トップ研究国語科トピックス
 
入学おめでとうございます!
2021/04/20
 皆さん,こんにちは。昨年度から引き続き,本校で国語科を担当します,有田友萌です。

 今年度は,1年生の担任となり,小学校生活の第一歩を一緒にスタートできるということで,ウキウキとドキドキが入り混じっています。

 今年は入学式が行われ,子どもたちは毎日元気いっぱいに過ごしています。友達と一緒にいること,教科書を使うこと,給食の準備をすること…すべてが初めてで,入学前との違いに驚きと成長の連続です!

 国語では,毎日のひらがな練習に慣れてきて,「ここは,とめるんだね!」「ぼくの字だ〜!」と喜びながら,一生懸命丁寧に書いています。
 今日は初めて友達と話す学習もしました。「もっと話したい!」「友達のことを知りたい!」とワクワクしている姿が印象に残っています。

 今年度は,この1年生たちと一緒に研究を進めていきます。
 自分の思いを友達に伝えたい!友達の思いを聞いてみたい!と思える子どもたちになるように精進してまいります。どうぞ,よろしくお願いいたします! (有田)

クラス対抗百人一首大会
2021/03/24
 3月の国語の時間には,百人一首大会を行いました。 

 百人一首は,和歌を読んだり作品の内容の大体を知ったりすることで,昔の人のものの見方や感じ方を知ることができます。

 日本には季節や色を表すたくさんの繊細な言葉や,大和言葉と呼ばれる奥ゆかしくもすっきりとした言葉があります。百人一首を読むことで,これらの美しい言葉に触れることができ,語彙が増えることも大きな魅力の1つです。

 恋する心,悩む気持ち,そして高い志は,千年前も今も同じことです。人は,いつの時代も同じ思いを抱いています。それを簡潔に美しく,今に伝えてくれるのが百人一首です。子どもたちも,好きな和歌や,どこか自分の心と重なり合うものが見つけられたのではないでしょうか。

 そして,約1ヵ月間,和歌の暗記に励み、卒業式の前日に「学年お楽しみ会」として,「クラス対抗百人一首大会」をしました。大会当日は、各クラスが練習の成果を発揮し,白熱した戦いが繰り広げられました。

 結果は,1組の勝利ということで,国語クラスの面目を保てて,ほっと一安心といったところでした。どちらのクラスも勝った喜び、負けた悔しさはあるものの,相手を思う優しい雰囲気に包まれて,楽しく終えることができました。

 6年生のみなさん,1年間楽しい思い出をありがとう!(田中)

1年間の振り返り
2021/03/10
早いもので,もう1年が終わろうとしています。
2年生は,先日,お別れ遠足に行ってきました。子どもたちと「1年間で一番の思い出をつくろう」というめあてをもち,思いっきり遊びまわり,楽しいひと時を過ごしました。「お別れ」という実感は全くないものの,この学級で過ごすのも残り10日と思うと何だか胸がいっぱいになってくる今日この頃です。

そんなことは露知らず,元気いっぱいの子どもたちですが,今回は,子どもたちの成長を振り返ってみようと思います。

@言葉にこだわる子どもたち
 国語の最後の単元は『スーホの白い馬』です。場面分けをしていると,何がどのように書いてあるか他の単元と比べながら,確かめる姿が見られました。
例えば,『スーホの白い馬』の始めの部分は「お話なのか,説明文なのか」と子どもたちは疑問をもちました。「物語だから,説明ではないだろう。」と決めつけるのではなく,その部分が「馬頭琴について話をすると説明した方が,読む人に分かるから,物語の自己紹介みたいなところだ!」と考える姿が見られました。また,そのように始めに紹介する構成になっているのは,物語だと『スイミー』も『わたしはおねえさん』も当てはまるし,説明文だと『馬のおもちゃの作り方』や『おにごっこ』が当てはまります。そのことにも気付いて,「似た書き方だね!」と嬉しそうに話していました。

A話し合いで解決する子どもたち
 これは,遠足のときの場面です。子どもたちは広い野原でおにごっこをしようと集まってきました。でも,おにごっこといってもみんなの考えはバラバラで,口々にしたいおにごっこを言い出し,収拾がつかなくなっていました。そんなとき,ある子が「国語のクラスじゃけ,話し合って決めようや!」と鶴の一声!みんなも納得して,話し合いました。「話合いで決まってよかったね。」という子もいました。多数決やじゃんけんで決める方が簡単ですが,みんなが楽しく遊べるように考え,納得して遊ぼうとする姿に,私は驚きました。最後には,「けいどろ」をすることになり,クラスも入り乱れて大盛り上がりしました。

B読む人に伝えようとする子どもたち
 2年生では「順序」に気を付けて読んだり,書いたりすることが大切にされています。子どもたちは,教材によって,順序に沿って書くことが大切だと十分理解しています。しかし,『おにごっこ』で学んでからは,順序に沿うだけでなく,自分が伝えたいことを読む人に分かってもらうために,順序に工夫することも必要だと気付きました。
 そのことを生かして,文集を書きました。1年間の思い出を複数選び,どの順番で書くと楽しかったことが伝わるかなと熱心に考えていました。その中で,時間に沿って書きたいと考えた子も,楽しかった出来事を最後にしたいと考えた子も,自分なりに順序を決められたことが成長です。

 随分長く書いてしまいました。1年間を振り返ることで,小さな学びの積み重ねが成長につながっていると感じられました。

 追伸 先月のオンライン公開授業研究会では,たくさんの御参加をいただき本当にありがとうございました。御意見をいただき,とても勉強になりました。これからもよりよい学びができるように精進しようと気持ちが新たになりました。これからもよろしくお願いいたします。(有田)

説得力を高めるのが上手なのは,どちらの筆者かな?
2021/01/21
 2月11日(木)のオンライン公開授業研究会では,『メディアと人間社会』『大切な人と深くつながるために』(光村図書六年)の教材文で授業提案をします。

 本単元では,筆者の意図を推論し,効果的な論の展開や表現の仕方について自分の考えを形成することをねらいとしています。

 そこで,池上さんと鴻上さんの文章を比べて,説得力の高さを評価する場を設定しています。そうすることで,述べ方の違いから生まれる効果を捉えることができると考えたからです。

 また,問いの「大小関係」を重視した単元を構成し,小さな問いは,子どもの課題意識を基に設定するようにしています。そうすることで,「説得力を高めるのが上手なのは,どちらの筆者だったか」という大きな問いへの思いを持続させながら,主体的に学びへと向かう子どもの姿を実現することができると考えたからです。

 協議会では,第二次の1時分にあたる,序論の役割について検討する時間の授業動画を紹介します。本時の活動や発問は,深い学びにつながっていたか,単元構成は子どもの問い意識につながりをもたせていたか,等の視点を中心に御意見をいただきたいと考えています。

 協議会V(小6国語)は,13:10〜14:00です。どうぞよろしくお願いいたします。(田中)

公開授業研究会について
2021/01/15
 コロナで始まった令和2年度があっという間に終わろうとしています。1月,2月,3月は「行く逃げる去る」と日々が慌ただしく過ぎていきます。子どもたちは,次の学年への意識が芽生え始め,元気いっぱいの中にお兄さん,お姉さんらしさが感じられるようになってきたと感じています。
 
 さて,2月11日(祝・木)は公開授業研究会がオンラインで開催されます。オンラインということで,密もなく,ゆったりした気持ちで御参加いただけると有難いです。
 授業は2年生「おにごっこ」です。おにごっこをみんなが楽しいと思えるために紹介の仕方にどんな工夫がされているのか探っていきます。
 御参加いただいた皆様と一緒に授業について考えを深めていきたいと思います。たくさんの御参加いただけますと幸いです。(有田)

資料を用いた文章の効果を考えよう
2020/12/23
 12月に「固有種が教えてくれること」(光村図書五年)の学習をしました。

 本単元では,目的に応じて,文章と図表などを結び付けるなどして必要な情報を見つけたり,論の進め方について考えたりすることを重点目標にしました。この授業で質の高い対話を実現するためには,筆者の資料の使い方に着目して,その効果を問い直すことが大切だと考えています。
 そこで,資料が主張の説得力や事例の分かりやすさにつながっているか評価する活動を設定しました。
本時では,資料6と資料7の効果について話し合いました。

T 資料6と資料7の使い方は,効果的といえそうか。
C ぼくは,グラフで示すと,増えたり減ったりしていることが一目で分かるから,この2つの資料は効果的だと思いました。文章だけで書くより,見ただけでよく分かるのでよいと思いました。
C しかも,二つの資料をあえて並べて置くことで,関連付けて読むことができるようになっているのが,とてもよいと思いました。
C 10段落の「天然林が減少するのにともなって,害獣としてくじょされるようになった」のところが分かりやすくなっているので,その後に書かれてある「固有種の保護は,その生息環境の保護とのバランスが重要なのです」という筆者の意見の説得力が高まっていると思います。
C 確かに,ないより合った方が断然いいですが,私は少し分かりにくいと思いました。一番の原因は,グラフの年代が合っていないところです。関連付けて読んでほしいから,近くに置いてあるのに,二つの資料の年代がバラバラだと比べにくいと思います。
C それは,都合のよい資料がなかったから仕方がなかったんじゃないですか
C でも,資料には,「林野庁資料を再構成」とか「各都道府県発表資料をもとに作成」とあるのだから,それだったら年代をそろえたグラフにできると思います。
C 私は,年代を合わせた上で,さらに二つのグラフを合体させて,「天然林等面積の推移と全国のニホンカモシカほかく数との関係」とした方が,もっと分かりやすかったと思います。その方が,棒グラフと折れ線グラフに書き分けていることも生かせると思います。

 最後に,資料6と資料7の使い方の評価について自分の考えを書かせて,この時間は終わりました。
 書き手の立場と読み手の立場を往還しながら,資料の効果を捉えたり問い直したりしていくことができました。「評価読み」をして,物足りなさを感じたら,代案を出していく「提案読み」ができるようになり,授業がますます面白くなってきました。(田中)

馬のおもちゃの作り方
2020/12/18
 今週は,子どもたちのコート姿が増え,寒さが一段と厳しくなったことを感じました。子どもたちは雪のちらつく中でも校庭を駆け回っており,相変わらず元気いっぱいです。

 今回は,『馬のおもちゃの作り方』の学習の様子をお届けします。
 これは,手順に沿って書かれている説明文です。私たちのクラスでは,本文で学んだことを生かして,新一年生に向けた学校生活の説明書を作ることをゴールとしました。

第一次…本文の内容を確認する。
 本文の特徴をつかみながら,読み進めていきます。子どもたちは,すぐに「まず」「さいごに」と順序を表す言葉が使われていることに気付きました。そして,馬のおもちゃが出来上がっていく様子を読み取りました。

第二次…書き手(宮本えつよしさん)の工夫を見付ける。
 自分たちが説明書を作るために書き手がどんな工夫をしているのか「もしも」と仮定しながら,考えていきました。
(1)もしも,最初の「馬のおもちゃの作り方をせつめいします。」という一文と完成した馬のおもちゃの写真
   がなかったら。
(子)多分失敗する。
   何を作るのか分からないまま作り出してしまう。
   だから,宮本さんは最初に何をするか書いたり,写真を載せたりする工夫をしているんだ!すごいぞ!
   ということは,〈作り方〉の各段落の最初の一文と同じ役目をしているね。すごいぞ!

(2)もしも,長さや数の説明がなかったら。
(子)適当に切ってしまう。
   長さがバラバラになって足が立たないかもしれない。
   いる数が分からないと,多く作りすぎたり,少なく切りすぎたりして無駄が出る。
   だから,宮本さんは長さや数をどの部品のときにも書いているんだ!すごいぞ!

(3)もしも,「いいですね。」が「しなさい。」だったら。
(子)何か嫌な感じ。やってみたいと思わないな。
   「しなさい。」って命令されているみたい。
   宮本さんはみんなにも試してほしいから,みんながやりたくなるように「いいですね。」を使っているん
   だ!すごいぞ!
   「いいですね。」は「しましょう。」にしても同じ気持ちが伝わるね。

第三次…新一年生に分かるように学校生活の説明書を書く。
 子どもたちが1年生のときに実際に困った場面を想起し,学校生活のどの場面を説明書にするか考えました。筆者の工夫として,(1)があったので,各段落の最初の一文と写真には子どもたちが強いこだわりを見せていました。(2)は学校生活の中では長さや個数を数字で表す必要のあるものが少ないので,時間を書くと良いことに気が付きました。(3)は厳しい書き方をせず,「読む人のことを思って提案する」ということに気を付けていました。

 今回の学習では筆者の工夫を読み取って,自分の説明書作りに生かしていきました。子どもの感想の中で「私は説明書を作るのにすごく苦労したから,宮本さんもきっとすごく考えて,苦労して作っていたんだろうなと思いました。」というものがありました。また,宮本さんが書かれた他の本にも気付き,紹介してくれる子もいました。筆者は,私たちにとって遠い存在かもしれませんが,筆者と同じように書くことで大変さや偉大さを感じ,距離を縮めることができるのかもしれないと思いました。(有田)

原爆ドームで平和のとりでが築けるのか
2020/11/26
 11月に「平和のとりでを築く」(光村図書六年)の学習をしました。

 本単元では,目的に応じて,論の進め方について考えることを重点目標にしました。この授業で質の高い対話を実現するためには,筆者の論理展開に着目した問いをつかませることが大切だと考えています。
 そこで,第一次の教材との出合わせ方に,二つの工夫をしました。

第一次1時 内容面に関する既有知識を掘り起こす場の設定
 本時では,まず,戦後間もないころの広島では,原爆ドームを保存するか,それとも取りこわしてしまうか,議論があったことを紹介しました。
 そして,それぞれの立場でどんな意見が出てきそうか予想させました。
 子どもたちからは,次のような意見がでました。
(保存に賛成の立場)
・原爆を二度と使ってはいけないという証拠になる
・戦争を起こしたくないという気持ちを高めることができる
・写真などの資料では出せない痛ましさが平和の象徴になる
(保存に反対の立場)
・過去の事を引きずっていても,しょうがない
・永久に残すとなると,かなりの税金を使うことになりそう
・忘れたいのに,思い出して悲しくなる遺族がいるのではないか
 最後に,これらの意見を聞いて,「自分が当時の広島市民だったら,どちらの立場をとるか」について,自分の考えを形成させて,この時間は終わりました。「どちらにも共感できるので決められない,迷う」という考えの子どもが多いのが印象的でした。
 内容面に関する既有知識を掘り起こすことで,筆者の主張を批判的に読む構えができます。

第一次2時間目 主張に合う論の進め方を予想する場の設定
 本時では,まず,「原爆ドームは,それを見る人の心に平和のとりでを築くための世界の遺産なのだ。」という筆者の主張だけを紹介しました。
 そして,原爆ドーム保存に対して,賛成や反対の様々な考え方がいる読み手を説得するためには,本文にどのようなことを書くとよいか交流させました。
 子どもたちからは,次のような意見がでました。
・戦争の悲惨さや遺族の悲しみ
・原爆ドームの世界遺産としての価値
・保存に賛成した人たちの意見
・「平和のとりで」と表現した理由
 最後に,本文を読み聞かせ,「本文によって,主張の説得力は高まっていたか」について,初発の感想を書かせて,この時間は終わりました。
 自分の論理と筆者の論理が比較され,そのズレから,筆者の事例の選び方やその順序性に着目した問いが生まれていました。
 その結果,二次では,F段落の「少女の日記」の取り上げ方や,J段落の「筆者の不安」を書く必要性などが話合いの中心となっていき,筆者の述べ方の効果を捉えたり問い直したりしていくことができました。

 第一次の教材との出合わせ方を工夫することで,「〜という内容をより分かりやすく伝えるために,筆者は,〜という形式を用いたのだな」という内容と形式を一体化させ,その形式のよさを実感させる単元を仕組むことができると思います。(田中)

そうだんにのってください
2020/11/11
2年生の子どもたちは友達,家族と話すのが大好きです。そんな話すのが大好きな子どもたちが出会うのが「そうだんにのってください」(光村図書国語2年生)の学習です。友達の相談にのるという活動に子どもたちはワクワクがとまりません。

初めに,視点や気を付けることなど何も決めず,お試しで相談をしてみたら,
相談した人の振り返りでは,
「悩みを聞いてくれてよかった。」「みんなの考えが聞けてよかった。」
相談にのった人の振り返りでは,
「みんなが一斉に話して,何を話したのかよく分からない。」「なぜ,自分の意見が通らなかったのか分からない。」
とのことでした。これでは「相談にしてよかった。」けれど,「相談にのるのはもういいや。」となってしまいます。
このずれを解決し,相談する人ものる人も聞き手,話し手になり,全員が「相談してよかった・相談にのってよかった」と思えるように学習をするために
@相談会をする。
A振り返りをする。
B相談のコツを見つける。
という繰り返しで取り組みました。
 
すぐに解決できるのは,「みんなが一斉に話す」です。人が話しているのを最後まで聞いて,次の人が話し始めることで解決できると,子どもたちはすぐに気付きました。また,話している人を見ることで,より話が頭に入ってくることもやってみて分かりました。
2回目の相談会をやってみると,また問題が浮かびました。同じ人ばかり話して,話すのが少ない人や話すまでに時間切れになってしまう人がいるということです。これは,上手に話し合いをしているグループを参考に解決法を考えました。そのグループでは,司会の役目をする人がいて,「Aさんは,どう思いますか?」と話を振っていました。やってみるとなかなかいい感じです。全員が話すことで相談会への満足度が高まりました。
3回目の相談会では,「自分の意見が通らないのはなぜだ」ということです。相談会の様子をビデオで撮って見てみると,話をしっかり聞く姿勢はできていても,聞いた後,すぐ別の人が話し始め,相談者はうなずきや質問への返答のみになっていることが多かったです。これでは,話したことをどう捉えられているか分かりません。普段の会話だと「ああ!」「え〜?」「ほんとに?!」「分かる〜!!」「いやいや…。」などいろいろな反応を自然に見せています。学習の話し合いだと,何となくかしこまってしまったり,話したい思いが先走ってしまったりするようですが,反応する言葉が丁寧なだけで,やることは普段の会話と同じだと分かりました。反応を誰もが返すことで,誰がどう思っているのか分かり,話し合いはスムーズになります。自分の意見が通らないと思っていた人も,「でも…」や「私も同じで…」と次の人が話し始めることで,意見が通りそうかどうかが分かります。
相談会の最後には,相談者は自分がどうしたいかを話します。この時,「僕は,〜したいと思います。なぜなら,…だからです。」と相談にのってくれた人に伝えることで全員が相談の結末を理解できます。自分の考え+理由は普段の発表でも言いますが,相談会でこの話し方のよさを再認識しました。

このように学習を進めていくことで,相談にのる人ものった人も「相談会で解決してよかった。」と思えるようになっていきました。学習を通して,
【聞くとき】最後まで聞く。
      聞いたことに反応する。
【話すとき】順番に話す。
      前の人の考えと理由をセットで話す。→みんなの納得度アップ☆
というコツにまとまりました。これは話す・聞くでは当たり前のコツですが,改めて子どもたちとまとめられたのでこれからの話し合いでも生かせことができるように大切にしていきたい思います。(有田)

「人類の宝」だと思えたかな?
2020/10/26
 10月に「『鳥獣戯画』を読む」(光村図書六年)の学習が終わりました。

 今期の研究テーマである「問いで学びを紡ぐ」子どもの姿を実現するために,本単元では,「説得力につながっている述べ方の工夫は,何か」という単元の大きな問いと,その問いを解決に近付けていくための「@表現の仕方A絵の示し方B『だから』のつなげ方は,効果的といえそうか」という小さな問いの「大小関係」を意識して単元を構成し,子どもの思考面によるつながりを重視しました。
 そうすることで,子どもは,学びの有用性や必要性を実感し,より主体的に学んでいくことができると考えたからです。
 子どもは,筆者である高畑さんの「『鳥獣戯画』は,だから,国宝であるだけでなく,人類の宝なのだ。」という主張の説得力につながっている良い点や問題点として,以下のことに着目していました。
 @表現の仕方は,効果的といえそうか?
 ・話し言葉で書かれていること
 ・大げさ表現が多いこと
 A絵の示し方は,効果的といえそうか?
 ・『鳥獣戯画』を右半分→左半分→全体という順序で示していること
 ・最後に『鳥獣戯画』と同じ時代に生まれた絵巻物を示していること
 B「だから」のつなぎ方は,効果的といえそうか?
 ・1文前とのつながり
 ・2文前とのつながり
 これらの問いで学びを紡いでいき,単元の終わりに学習のまとめとして書いた批評文を1つ紹介します。

高畑さんの文章は,『鳥獣戯画』を人類の宝だと思わせる説得力があったか?
 私は,高畑さんの文章の説得力の総合評価は,3(4段階評価)だ。表現が4,資料は3,「だから」の使い方は2だ。
 表現の仕方が4の理由は,話し言葉だからだ。確かに,通常の説明文は,敬語を使っている。だが,この『鳥獣戯画』の絵巻物は,物語のようになっているため,その様子を伝えるには,話し言葉の方が,より『鳥獣戯画』の楽しさが伝わると思う。しかも,文章の中に,「ぱっとページをめくってごらん。」と書かれてある。何度も読んだことのある人にとっては,展開は分かってしまうけれど,初めてこの説明文を読む人にとっては,「この後の結末は,どうなるのだろう?」という興味付けにもなり,どんどん先も読みたくなる。さらに,その次のページには,「蛙が兎を投げ飛ばしたように見えただろう。」という文章がある。読者に共感させるような言葉で,面白さや楽しさもある説明文になっている。だから,表現の仕方は,4にした。
 次に,資料の使い方が3の理由は,『鳥獣戯画』を一気に全部読者に見せるのではなく,読む順番に,右半分→左半分と資料を分けてあるからだ。最初に『鳥獣戯画』の全てを見せられても,私たちでも,けんかをしている様子や相撲をとっている様子,ただ遊んでいるけど何の遊びか分からないなど,色々な想像ができてしまい,余計に説得力が下がってしまう。けれど,これは『鳥獣戯画』のよさを伝えるための説明文だ。だから,まず,読む順番ごとに資料を分けて,絵の細かいところまで見ていくことで,読者により絵のよさが分かる。そして,最後に絵の全体で,今まで伝えられなかったことを改めて見せることで,『鳥獣戯画』は人類の宝という説得力が,より上がるようになっていると思う。
 けれど,最後の資料の「『鳥獣戯画』と同じ時代に生まれた絵巻物」の資料により,説得力が下がってしまった。理由は,ただ同じ時代に生まれただけで,あまり『鳥獣戯画』との関係がないからだ。しかも,文章とのつながりもあまりない。強いて代案を出すなら,この頃の世界で見つかっている絵をのせてほしかったと思う。筆者は,「これほど自由闊達なものはどこにも見つかっていない」と書いている。けれど,それは筆者の意見だから,私たちが見ないと判断できないのではないかと思う。だから,『鳥獣戯画』の見せ方はよいけれど,最後の絵巻物の資料の見せ方に納得できないから,資料の評価は3だ。
 最後に,「だから」の使い方が2の理由は,文章と資料のつながりがないからだ。これは,『鳥獣戯画』のよさを伝えるための説明文だと思う。なのに,最後に同じ時代の絵巻物の説明をして,そこから主張に「人類の宝」と言われても,少し分かりにくいし,混乱してしまう。もう少し「人類の宝」と思わせるような文章があればよかったと思う。例えば,世界の絵と日本の絵を並べて比べられるような文章にして,『鳥獣戯画』をよりよく見せるようにすればよかったと思う。
 これらのように,高畑さんの表現は,説得力につながったと思うけど,「だから」のつなげ方が,混乱させてしまうと思ったから,説得力の総合評価は3だ。

 ノート4ページに渡る大作です。小さな問いを一つずつ解決していき,大きな問いに対する自分の考えを形成することができました。納得できることはよしとし,腑に落ちないことをそのまま受け入れることはしない。筆者に立ち向かい,自分の考えをつくっていくクリティカル・リーディングができていますね。(田中)

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