 |  | 越えて 跳び箱 |  | | 2023/02/17 | 先日の小中一貫研究協議会はお世話になりました。「体つくりの運動遊び」という,小学校低学年に特化した提案にはなりましたが,小学校・中学校のどの学年でも重要になると思われる「遊び」の概念を実践含めて提案させていただきました。あわせて,本校の研究主題の「well-being」につながる「エージェンシー」の概念についても,詳細に提案させていただきました。御都合がつかず参加は叶わなかったけど,気になられるという方は遠慮なく本校までお問合せいただければと思います。
さて,研究協議会が終わっても毎日学校は行われます。ほっと一息ということもなく,毎日子どもが楽しいと思える体育ができたらと思いながら実践を積んでいます。
今回のトピックスは,「器械・器具を使っての運動遊び」についてです。跳び箱を使った運動遊びを行いましたが,低学年の学習はおよそ,基本的な動きを身に付けることが目標になっているものが多いです。指導要領を見ると,楽しさに触れながら身に付けられるとよいと考えているのであろうと読み取れます。解説編を読むと詳しく載っていますが,資料というイメージで考えておくとよいです。
つまり,体育の学習はもっと自由でよいのではないか?というのが正直な感想です。跳び箱といえば開脚跳びができること,縄跳びといえば二重跳びができることと言ったようなバイアスを脱却した授業で,子どもが体育を楽しい,運動が楽しいと思えるとよいなと考えています。そうはいっても,私も以前は研究会に参加しては,素晴らしい場作りを見て,こんな場を作ってみたいと思ったり,目の前の子どもが「できる」ようにどんな場を作ればよいのかといった楽しさが基になる授業を考えられていなかったように感じます。
二度目の1年生をもたせていただき,「遊び」を勉強していくと,体育はもっと子どもに任せることができるのではないかと考えるようになりました。研究協議会で提案させていただいたように,今回の単元も子どもに任せられると思うところは任せた実践になっています。
跳び箱の学習では,踏切り,着手,着地の大まかな三つで捉えて学習を進めます。全てつながってくるのですが,それぞれを切り取った動きとして定着し,中学年以降から自由に引き出せるようにしておきたいなと思います。教師が「手を着くときはこんなふうに」「踏切りはこうやって」といったように示範をしたり,させたりするのもよいのですが,目指す動きが提示された瞬間に,それができるようにという思考になるのかなとも思います(もちろんそれを狙って提示することもあります)。
最初こそ跳び箱の位置やマットの位置,何段で行うかといったことを指示しましたが,2時間目からは,楽しくするために位置や高さを変えてよいと場作りを任せました。「跳び箱が低すぎて乗りにくいから,高くしたいね」「向きを変えると足を開いて乗りやすいと思う」というように,自分たちなりに跳び箱の位置や高さを工夫していました。マットも,跳び箱の後ろだけでなく,跳び箱同士をマットでつなげてコースのようにする様子も見られました。授業の途中に,ウレタンマット?をステージに付けて置いて,ステージから跳べるようにすると大興奮で跳んでいました。時間が進むにつれて,いろんな跳び方が出てきます。場所の工夫,動きの工夫,様々な工夫をする中で,自分がやってみたい動きや友達がやっている動きを目指すようになっていくと思います。そこで,子どもはできるようになりたいと思うのではないでしょうか。
「遊び」や「エージェンシー」を核にした学習を作っていく中で,子どもに権限を譲渡し,創造し,技能を向上していきたいと思えば,子どもは本質に沿った「できる」を目指していくのではないでしょうか。「できる」を目標にするわけではないと言いますが,やはり運動を楽しむうえでは「できる」を目指していくことが必要です。子どもの思考の中のどこに「できる」が位置づいているのかというのを指導者が捉えてくことがとても大切になると思います。
今年度も残りあと2か月を切りました。学年が変わっても,運動を楽しみ,体育が好きな子を一人でも増やせたらいいなと思っています。 | |  |