 |  | ペース走・鉄棒について |  | | 2023/12/11 |  | | | 今回は「持久走」「鉄棒」の二つを書かせていただきます。
持久走シーズンがやってきました。本校での行い方を「距離を決めてどれだけ早く走れるかを競うマラソン大会方式」から,「時間を決めてどれだけの距離を走れたかを記録する持久走方式」に変えて3年目になります。指導要領には「無理のないペースで」という記述もありますので,「ペースを守って決められた時間走ることができるかどうか」が楽しめるように,毎年試行錯誤しながら取り組んでいます。
昨年度までの行い方を変えた経緯や理由,学習での取り扱い方はトピックスをさかのぼっていただければと思います。今回は,昨年度との変更点とその理由をお伝えできればと思います。
行い方を簡単に説明しますと,4分間の中で自分のペースを決め,時間が経った時に止まった場所でペースを守れていたかどうかを確認するようになっています。グラウンドが200mトラックになっていますので,10mずつコーンを置き,どこのコーンで終わればピッタリなのかを確認します。昨年度までは全員が同じ場所からスタートし,ペースによってそれぞれゴールが違うというものになっていました。しかし,この行い方ですと自分がどのコーンでゴールだったのか分かりにくいことや,保護者の方が見に来られても,お子様がペースを守っているのかが分かりにくいということもあるのではないかと思いました。
そこで,スタート位置をペースによって変え,ゴールが全員一緒になるように変更しました。こうすることで,子どもも保護者の方も止まった場所でどれだけズレているかが分かりやすくなります。〇周と〇個コーンを通過したことを記録しておけば,自分が走った感覚で「とてもきつかったけど,〇周だった」であればペースを落とした目標に変更します。「走るペース的にきつくなかったけど,ゴールがズレていた」であれば,スタート地点を変えればよいようになります。そもそも自分で決めたペース通りに走っているのかもあるので,秒数をカウントし,ペースを身に付けることができるようにすることも必要となってきます。
持久走の行い方について,何かお聞きになられたい方がおられましたらお気軽に御連絡ください。
では,鉄棒の話に移らせていただきます。
もたせていただいている学年は2年生なのですが,3年生で実践を行わせていただきました。鉄棒は「できた」「できない」が明確なので,達成感を味わいやすい学習である反面,「できなかった」が分かりすぎて運動が苦手だという意識が残りやすい学習でもあります。鉄棒の学習でよく見る風景は「逆上がり」を全員で習得しようといったものです。なぜ,こんなにも「逆上がり」が中心的に行われるか文献を調べても分かりませんでしたが,ある大学の先生とお話させていただく中で「簡単でもないし,とても難しくもない。できたかどうかが分かりやすいので練習をしてできたという達成感が味わいやすいから」ではないかという結論になりました。しかし,「逆上がり」は行い方以外にも身体的発達が大きく関わってくるものでもあると思います(鉄棒はどれもそうかもしれませんが)。なので,努力してもできなかったという結果になると,生涯スポーツに親しもうとする子どもは少なくなっていくのではないかと考えています。 では,鉄棒の楽しさは何なのでしょう。器械運動系は,体操競技がチャンピオンスポーツとして取り扱われていると思います。そこでは,「技の難易度・美しさ・雄大さ・安定性などの観点で複数の審判員が採点し、そこから得点を算出して順位を競う競技」となっています。鉄棒は,鉄棒を使って行う運動なので,鉄棒に上がり,その上で色々なことを行い,そして下りることが一つの流れとなっています。なので,「上がる,止まる・振る・回る,下りる」をどう行うことができるかを子どもたちが楽しさとして捉えることが大事になると思います。
そこで,今回の学習では,低学年で行った運動遊びをはじめに行いました。例えば「ツバメ」「布団干し」「くの字起こし」「コウモリ」のような動きです。そして,その動きをもとにどのようなことができるか自由にやってみていいよと伝えました。すると,「コウモリから地面に手を着いて下りる」「ツバメから前に回って下りる」「ツバメから回ってその姿勢に戻る」などが出てきました。いろんな動きが出てきましたが,「回る」という動きは中々難しく,こんなことができるよという振り返りには加わりませんでした。そこで,「いろんな動きを考えてくれたけど,副読本に載っているものに似ているものはないか?」と聞き,似ている動きを試す時間をとりました。「自分が考えたものと似ているものがある!」「こんな動きもあるんだ!やってみたい!」と進んで鉄棒を使って運動をしていました。「回る技」は中々難しく,結果的に「下りる技」になっている様子も見受けられましたが,その動きについては「下りる技」として価値付けしたり,その動きを簡単にすると回ることができることに気付くように問い返したりしました。実際の動きを見る機会がなかったので,いろんな技に挑戦している子の技ができた様子を共有することで,行い方をイメージしやすくなっていたようです。
いろいろな動きが出てきたところで,「いろいろな行い方で,鉄棒に上がったり,鉄棒の上で止まったり回ったり,振ったり,鉄棒からピタッと下りたりすることができるか」というめあてを設定しました。子ども達は,自分ができる技やできそうな技を組み合わせて上がったり,止まったり・振ったり・回ったり,下りたりするという見通しの中,どのような組み合わせで行うかメモをし,取り組みました。組み合わせの中でできない技があると,その技だけ取り組んだり,組み合わせで成功したら新しい組み合わせを考えたりして積極的に鉄棒を使って運動していました。
器械運動領域については,系統的に技が組み込んであるので,この学年ではこの技を身に付けなければならないという意識が指導者に働くかもしれません。このような領域では,「自分がやりたい・できそうだと思った技に挑戦した」という意識が重要になってくるように思います。そういった意識で運動に取り組んだ子は,「できる・できない」の間にある「できそう」を楽しむ意識が育まれ,様々な運動でも挑戦しようと意欲的に取り組んでいけるのではないでしょうか。技も体力ももちろん大事です。しかし,生涯スポーツに親しむ土台はそれだけではつくられないように思えます。どのようなことを意識して授業をつくっていけば,生涯スポーツに親しもうとする子どもが増えるのか,またwell-beingに向かう子が育つのか,これからも子どもに向き合いながら実践を積めたらと思います。 | |  |