光小トップ研究家庭科トピックス
 
6年_一食分の献立
2023/02/06
2月3日の研究協議会に御参会いただたみなさま,ありがとうございました。

今回は,well-beingにつながる学びを実現するために,子どもがもつエージェンシ(主体性+α)に目を向けて,授業研究をしてまいりました。
この+αの部分は,家庭科でいうと,自分だけでなく,家族や地球環境にも責任を負うという側面が入ってくると思っています。

協議会をふまえて,画像に挙げた三つの手立ての成果と課題を振り返ります。

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@個と全体とを往来する題材構成
○個の時間を増やし,進度や学び方を委ねた題材構成と,振り返りとは相性がよく,子どもの進度を把握しながら,全体で共有すべき課題があれば適宜場を設定するこができた。
●題材の導入で,「一食分の献立を作成し,実際に家庭で作る」というような課題を提示した後,「そのために今できるようになっていることは何か」「そのためにこれから身に付ける,考えるべきことは何か」とうを確認して見通しをもつ方法も,協議会で提案いただいた。さらに自分事として子どもが学びに向かうことが期待できる。

A評価項目・評価規準を子どもと設定
○どうすれば「よりよい」献立となるか,評価の視点が明確であるため,子どもたちが自分たち自身で計画を進めるところができた。(アドバイスや問い返しは必要に応じてしている)
●評価項目を個別で作るか,学級で作るかは吟味が必要。現状は学級が4項目。個人裁量が1項目。必要な学習内容が含まれるように,また,学級で共通の話題で議論できるようにするために,学級での項目も入れたいが,個別の課題に沿って考えることも家庭科では必要。バランスを考えていきたい。

B題材を通して学びを蓄積する振り返りの場
○Googleスプレッドシートを用いた振り返りは,「書く手間の軽減」「数値を瞬時にグラフ化できる」「シートにすることで,教員も子ども同士も学級全体の振り返りを見ることができる」というよさがあった。
●今回の振り返りは,献立の変化,つまり内容面についての改善を蓄積することにとどまっていた(ビタミンを含むにんじんを加えたことで,献立の栄養バランスの項目がアップできた 等)。さらに自分を俯瞰し,自分の考えの変化や成長に目を向けられるとよいのではないか(私は栄養バランスに目を向けることができるようになった。にんじんを加えることで,ビタミンを増やすことができると気付いた。どの食品がどの栄養素を多く含むか覚えると,献立を立てるのが速くなりそうだ 等)。
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大変勉強になりました。また,一緒に家庭科について考えることができると幸いです。

5,6年_一人一品調理
2022/12/09
5年生はホットサラダ,6年生はいためものの調理実習を行いました。

工夫したことは,
全体でどんな調理にしたいか(すべきか)目標を立ててから,個別で計画を立てる題材構成です。

目標は教師が資料を出したり,今までの食生活を振り返ったりしながら,全体で設定しました。6−2の,朝食のいためものでは,「栄養バランスよく,手軽で,環境によいいためものをつくろう」です。
そこから,個別で調理計画を立てました。材料も,各家庭から準備をしてもらうよう,協力をお願いし,調理も一人一品調理を行いました。

やってみての成果と難しかった点は,次のようなものである。
○材料の準備にも関わるので,「家にあるもの」や「地産地消」など,環境に配慮した材料の入手方法まで子どもが考えることができる。
○一人一品調理は,全て自分の責任となるため,計画を入念に考えたり,事前に家で試作したりする子どもが多かった。また,実習後の振り返りも,自分事として行うことができた。
▲食材の概量については中学校での学習内容であるため,一人前の適量がわからず,教師が一人ずつチェックする必要があった。
→卵なら1個,ほうれん草なら1株,人参なら1/6本など,主要な食材の概量を示すことで,おおよそ適量を見いだせるようになった。
▲家庭科室のコンロの数が足りない
→コンロの数の2倍子どもがいるので,前半と後半に分け,調理をしていないチームは,「他の材料で作るなら?」とレシピづくりを課した。(2時間続き)
▲材料を個人で持ってくることによる,家庭の負担
→学級だより等でお願いしました。御協力いただきありがとうございました。

6年_作ったナップザックのその後…
2022/09/21
6年生では袋の製作を行います。
教員は,製作過程や出来上がりを見とると思うのですが,今回,【使用過程を見とる】というのを行ってみました。

今年度は6月頃に,ナップザックやトートバッグなど,自分の目的に応じた袋を選んで子どもたちは製作し,修学旅行や日頃の生活で嬉しそうに使っていました。

しかし,やはり使うと消耗していくもので,修学旅行中にナップザックのカラーテープのところが取れて,背負えなくなっている子どももいました。

9月の上旬に,製作した袋を回収し,チェックしました。すると,60人中10人ほど,使えないor使えなくなりそうになっている状態の人がいました。その子たちと休み時間にミシンで一緒に縫い直しました。

縫い直すと,一回目よりも丈夫につけようと,どの子も縫う回数を増やしたり,縫う場所を工夫したりしていました。

今はお店に行けば,いろんなサイズ,いろんな素材,いろんな形状の袋が安価で売っています。そういう時代に子どもがミシンを習う意義を考えると,
(リペアやリメイクができるようになり,物を長く大切に使い切ることにつながる)ということかなと思うようになりました。

自分が一枚の布から作ったものは,自分で手直しすることができます。

これからも,作る過程に加えて使う過程にも注目していきたいと思います。

写真は,ミシン糸とボビンの収納です。100均で購入しています。(やはり,便利・・・長く大切に使います。)
ミシン糸は3×6の18マス
ボビンは6×7の42マスのものがジャストフィットでした!(^^)!

あなたに気づいてほしい家事
2022/09/16
夏休み中に附属山口小学校の重枝先生に,青森県で行われている『あなたに気づいてほしい家事』という取り組みを教えてもらいました。

・献立を考える家事
・洗濯前にポケットにティッシュ等が入っていないか確認する家事
・食べ終わった食器を水に浸しておく家事
など、普段家事をしていない人には気づきづらい家事のことです。

これを5・6年の子どもたちに,家庭科の時間に紹介しました。紹介するときには,導入で,漫画『ミステリと言う勿れ』のあるシーンを見せることから始めました。

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奥さんと最近うまくいっていない警察官は、主人公に、
『でも、おれゴミ捨てとかはしてるんですよ!少しは手伝ってるって感謝してほしいわ!』と話します。

それに対して主人公は、「ゴミ捨て、、、どこからですか?」と問います。
この意味がわかりますか?

主人公はこう続きます。
「おたくにゴミ箱はいくつあります?」
「ゴミ捨てって,家じゅうのゴミを集めるところから始まるんですよ」
「分別できなかったらして」
「袋を取り換えて」
「生ごみも水切って」
「ついでに排水溝の掃除もして」
「ゴミ袋の在庫があるかチェックして」
「そうやって一つにまとめるんですよ」
「そこまでが面倒なんですけど…」

『いや,おれできたやつを持っていくだけ…』と警察官は返事をするのが精一杯でした。


こうして気づいていない家事がいっぱいあるねという話から,「あなたに気付いてほしい家事」のパンフレットの話へと続きました。

子どもたちからは,
「こんな仕事もあるの!?」
「献立は何でもいいって言うのが正義だと思っていた!」
「これは自分もやっていた!」
などとつぶやきが上がりました。

さらに,「自分の家にも気付いてほしい家事はないかな?」と問い,家族と話してくるようにしました。

子どもが見つけてきた家事には,
・買ったものを冷蔵庫や冷凍庫に入れる家事
・ペットボトル飲料を飲み終わったら,キャップ,ラベル,ボトルに分別する家事
・枕についている髪の毛を取る家事
などがありました。

こういう名前のないような家事の存在にまず気付き,自分ができるところから協力しようとする心を育みたいです。

【申し込みあと1週間】授業づくり研修会「技家のカギ」
2022/07/22
夏休みの研修会の告知です!

8月5日(金)14:15〜15:00に授業づくり研修会を行います。
山口県在住の方を限定とした,「参集型」での開催予定です。
※感染拡大により,変更となる可能性もあります。

今世の中では,株,投資など「お金」のことを学ぶ番組や本が増えてきているように感じます。投資信託について高校の家庭科で学ぶようになるというのも,耳にしたことがあるのではないでしょうか。

・大人でも知らないことが多いお金や売買契約のこと
・小学校の家庭科ではどのように授業を仕組むのか
などについて先生方とお話できることを楽しみにしています。

また,今回は光市教育研究会家庭科部会の技能研修会とも兼ねています。
消費者教育についてだけではなく,持続可能な社会の構築の見方を生かした,
「はぎれで作る,パッチワークコースター」の製作も行います。

山口県内の先生方,ぜひお越しください。

詳細は,HPのトップページを御覧ください。

6年_夏をすずしくさわやかに
2022/06/14
前期教育実習では,「夏をすずしくさわやかに」の授業を教生先生と一緒に考えました。

題材一次ではまず,「暑い季節の困りごとは?」と問いました。
熱中症,ぼーっとする,寝苦しい,汗をかいて気持ち悪い,電気代がかかるなどの子どもの回答をグルーピングすると,
△健康 △快適 △コスト というように分けることができました。
家庭科のキーワードにしている「自分も家族も地球もうれしい」。今回の地球もうれしいは?と聞くと,「省エネによって地球温暖化を加速させないこと」が上がりました。

次時は,教生先生が「夏にピッタリの布を選ぼう」というめあてで授業を行われました。本時で工夫したことは,
@どの素材の布を比較させるか,どの実験を行うかという教材研究
A「感覚的」な快適さから「科学的な」快適さへ   です。

@布の素材は「綿」と「ポリエステル」を選択しました。身近で性質が異なる素材だったからです。3つ,4つ用意することも検討しましたが,2つを比較し,どちらにも強みがあることがわかった子どもは,「夏にふさわしいのはどちらと言えるのだろう?」と問いをもち,「場面や状況に応じて選ぶとよいのではないかな?」と最適解を見付けることを期待しました。

実験は,計4つ行いました。
T 写真2枚目のように布のあるなしでどのように違うのかを調べる実験
→湿気をとるという布の役割に気付くことができるようにする
U A吸水性B通気性C乾きやすさを調べる実験(班で分担)
  →布の性質の違いに気付くことができるようにする

A子どもたちは感覚的に,夏に着たい服は,サラサラがよい,汗を吸うものがよい,でもシミにならないものがよい・・・などという思いをもっています。しかし素材に着目するまでには至っていません。上の実験を通して,「科学的」に性質の違いをとらえ,汗を吸う根拠,サラサラである根拠を見付けることができました。

授業後も,給食エプロン等を見て,これは綿●%,ポリエステル●%だー!と興味を広げている子どもの姿が見られました。

これからが夏本番!!ぴったりな素材を選んで夏を一層快適に過ごしてほしいです♪

教生先生,ありがとうございました。

6年_キットでナップサック製作!の前に…
2022/05/18
6年生では袋の製作がありますが,この時の学習内容に
「布の大きさを決める根拠」
というものがあります。

例えば,将来「歯磨きセットを入れる巾着がほしいな」「我が子の手提げ袋を,好きな柄で作ってあげたいな」と思ったとき,入れたい物の大きさから布の大きさを計算して,布屋さんで
「1m巻きのこの布を60cmください」のように注文することになると思います。

その状況をイメージし,
『たて26cm,横20cm,暑さ2cmのiPadがちょうど入るくらいの巾着をつくろう』という課題を設定しました。

そして,そのためには布が縦何cm×横何cm必要かを子どもたちに考えさせました。
ヒントになったのは既存の巾着でした。「リッパーでほどけば答えがわかるけど,もったいないから頭の中でほどいて展開図のようにしてみたら?」と声をかけました。
給食袋等を裏返しながら,「ここの部分が縫うと小さくなるから・・・」と大きさを決めていく様子が見られました。

最終的には,全体の意見を集約しながら,板書で展開図をつくり,
【両面】【縫いしろ】【ゆとり】【マチ】【ひもを通す部分】を考慮して大きさを決定していく必要があることをみんなで確認することができました。

本来ならこの手順で自分が作りたい袋についても大きさを決定し,布屋さんに買いに行って・・・とできると学習内容がつながるのですが,
△キットの方がトータルで見ると安い
△買った布は端にロックミシンをかけていないものもあり,端がほつれる
というデメリットがあり,上の巾着を共通課題とした後にキットを使った製作を行っている現状です。

しかし,共通課題を製作しないにしても,この「大きさの根拠」について学ぶ時間は,1時間程度でできますし,キットのみだと難しいので,行ってみるのもよいのではないかと思います!(^^)!

家庭科とはどういう教科?
2022/04/14
新年度が始まりました。今年度も5・6年生の家庭科を担当します。坂本です。よろしくお願いします。担任は6年生となりました。
小学校生活最後の年,子どもが自分の成長が実感できる1年になるよう,尽力します。

6年生の授業開きでは,今年度も「家族とは?」から入りました。よかったら昨年度のトピックスを御覧ください。

5年生の授業開きでは,「家庭科とはどういう教科?」というガイダンスからスタートしました。

大切にしたのは,「見方・考え方」と,「家庭科を学習した先にどうなることを目指すのか」の共有です。

家庭科は,“家庭生活をよりよく工夫する教科”とおさえた上で,
「よりよく」ってどうなればいいのかの道しるべをしてくれるのが見方・考え方だよということで,教科書の題材ごとに登場する,見方・考え方の窓を確認しました。(東京書籍では窓のアイコン)

また,よりよくした先にあるのは,
「自分も家族も地球もうれしい」であることを伝えました。

今年度もwell-beingの研究を進めていきます。子どもたちが,家庭や地域における役割に気付き,自分も家族も地球もうれしくなるような在り方を考えていけるように,日々の授業を重ねていきたいです。

今年度もよろしくお願いいたします。


□■□■□■□■お知らせ□■□■□■□■

令和4年8月5日(金)に家庭科の研修会を行う予定です。
まだ参集かオンラインかは未定ですが,今年度初めて家庭科をもつ先生から家庭科を研究している先生まで,みんなで学び合う研修会ができるといいなと思っております。
興味がある方は,予定を空けておいていただけると嬉しいです♪



【告知】SDGs時代に考えたい,自分も家族も地球もうれしいを目指した家庭科学習
2022/01/26
2月11日(金)に第1回小中一貫教育研究協議会が行われます。

#ウェルビーイング #Well-being #SDGs 
#家庭科の深い学び #消費者教育 #ゆでる調理 
#和食 #米飯とみそ汁の調理 #コロナ禍の調理実習

上記のような事柄に興味がある方は,ぜひ家庭科部会に御参加いただけると幸いです。

今回は,「ウェルビーイング」と教科の関わりについて研究を始めて1回目の研修会となります。ウェルビーイングは「よい状態」「幸福」などと訳される言葉で,政治や企業の政策や改革の柱としても注目されている言葉のようです。

家庭科は,「生活をよりよく工夫する」教科。まさにウェルビーイングにつながる教科だと考えています。

今回の協議会では,
・ウェルビーイングってそもそも何だ!?
・家庭科の学習で子どものどんな姿が見られたら嬉しい!?
・そのためにはどんな手立てが必要!?
というような話を,御参会の先生とざっくばらんに話していきたいなと思います。

その際,「買物」「ゆでる調理」「ご飯とみそ汁」の三つの授業実践やレポートの取組等を紹介する予定ですので,それを見ていただきながら,お話しできると幸いです。

 みなさまの御参会,お待ちしています。


5年_ゆで野菜サラダづくり
2021/12/17
切り方とゆで方を極める学習を終えて,それらを組み合わせてホットサラダを作りました。今回は,切り方とゆで方の工夫に焦点を当ててほしかったので,材料は全員共通のものとしました。

食材は「にんじん」「じゃがいも」「ブロッコリー」の3つ。かさが変わる葉物野菜も迷いましたが,
・切り方の工夫ができること
・可食部を増やす工夫がしやすく,環境に目を向けやすいこと
・前時にほうれん草のお浸しの調理で葉物野菜はかさが減ることを経験していること
を考慮し,上記の3つにしました。

子どもたちは,「にんじんが苦手だから小さく切ろう」「シャキシャキした食感を残したいからふっとうした湯でさっとゆでよう」など,工夫をこらしていました。

感染対策と,個人の工夫を反映するために,一人一品調理にしたので,自信もついたようで,「今日さっそく家で作りたいので計画書持って帰っていいですか!?」という子どもの声もありました。こういう声がたくさん聞ける授業になるよう,精進したいと思います。


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