光小トップ研究国語科トピックス
 
【国語科】『言葉を尽くす』ということ
2022/06/03
今年度より,本校に着任しました,大塚祐亮(おおつかゆうすけ)です。
今年度は,4年生の担任で,国語科の授業を担当します。どうぞ,よろしくお願いいたします。

4年生では『思いやりのデザイン』『アップとルーズで伝える』(光村図書4年)の学習を行いました。学習の中で,『それぞれの段落に小見出しをつけるとしたらどのようなものになるか』ということを考えました。子どもたちは,本文に書かれている内容を一生懸命吟味したり,前後の段落との繋がりを考えたりしながら,段落ごとに素敵な『小見出し』をつけていました。
では,なぜ『小見出し』を付けたのか。子どもたちのつけた『小見出し』には,その基になる『理由』が必ずあるはずです。しかし,その『理由』が『なんとなく』や『そう思ったから』では話合いは成立しにくく,学びとしても不十分であると考えています。文章の流れや表現など,叙述に基づいた『理由』を自分の言葉で明確に表現できることが大切であると考えています。だからこそ,『小見出し』をつけることによって,自分がどこに注目したのか,どの表現からどのように思ったのかを,子ども自身が認識し,話合うことができるように活動を取り入れました。

思いや考えを『抽象』から『具体』へと昇華させるためには,言葉を知り,選び,繋げ,推敲する。このサイクルを回していくことで,自分の思いや考えを表現する幅が広がり,伝わりやすくなることを子どもたちが実感してくれればいいなと思います。

『言葉』というのは,自分を表現するための非常に便利な『ツール』であり,それと同時に『材料』でもあると考えています。自分を表現したり,他者と関わったりする際に『言葉を尽くす』ということの大切さ,楽しさ,難しさについて理解し,活用できるような手立てを意識した授業づくりを行っていきたいと思います。

1年間,よろしくお願い致します。(大塚祐亮)

【国語科】授業づくり研修会
2022/05/21
この頃は日中に車を駐車していると,車に乗った瞬間,「モワッ」とした空気が漂うようになってきました。もうすぐ夏です。

さて,先日,第1回授業づくり研修会を行いました。御多用中にも関わらず,多くの先生が参加してくださったことに感謝申し上げます。
この会は,本校の地域貢献の新しい取り組みです。各教科部等が主催となって,授業づくり等について話をします。動画視聴で授業の実際をお見せする機会もありますので,ぜひ御参加いただけると嬉しいです。

今回は説明文の授業づくりについて話をしました。

国語科の指導では,子どもが言葉への自覚を高めていくための指導が求められています。

説明文は筆者が伝えたいことや分かってほしいことをたくさんの工夫をしながら,書いた文です。だから,書かれている内容を理解すると共に,筆者の述べ方の工夫を理解することが大事です。

例えば,『おにごっこ』(光村図書2年)では,事例の並べ方を工夫することで筆者の主張を効果的に伝えようとしています。また,『時計の時間と心の時間』(光村図書6年)では,事例に読み手が共感できるような体験を具体的に書くことで,主張の説得力を高めています。

筆者が取り上げた内容だけを詳細に追っていくのではなく,あたかも自分が書き手になったかのように,述べ方のよさや工夫,より読者に伝わる述べ方を追求することで,言語形式に着目しながら読みを深めていく子どもの姿が実現します。

『教材「を」教えるのではなく,教材「で」教える』
『子どもが読み手の立場と書き手の立場を往還しながら,教材とつながって読みを深める』

こういったことを意識した授業づくりを繰り返すことで,子どもは言葉への自覚を高め,捉えた言語形式のよさを別の学びでも生かしていくことができると考えます。

今回は,説明文の授業づくりについて研修会を行いました。
国語科では11月に小学校と中学校で連携して授業づくり研修会を行います。御参加をお待ちしています。

国語科の授業づくり,スタート!
2022/04/12
 はじめましての方も,今までお出会いしている方も,今年度も国語を担当します,有田友萌(ありたともえ)です。今年は,6年生の担任と,5・6年生の国語科の授業を担当します。どうぞ,よろしくお願いします。

 6年生では『春の河』『小景異情』(光村図書6年)を基に,詩の学習を行いました。「春を強く感じる詩はどちらか?」という問いに対し,詩に書き表されている言葉からイメージを広げ,詩の世界と友達の話合いを行ったり来たりしながら楽しむ姿が見られました。

 さて,本学園では,【well-beingにつながる学び(1期)〜教科等の本質に迫る授業づくりを通して〜】というテーマの基,研究を進めています。教科等の本質に迫る授業で身に付けた資質・能力を,人生において自在に発揮できる子どもを育成することができれば,社会が抱える複雑で困難な課題を解決していくことができ,well-beingの実現につながると考えています。

 その中で,本学園の国語部では,【自分の考えを形成する話合い活動】を大切にしています。その際,「どう読んだのか」という自分の考えを中心とした話合いを「なぜそう読めるのか」「どこからそう読んだのか」という理由と根拠を中心とした話合いにしていくことが,深い学びへと向かう鍵になると考えています。
 私の今年の目標は,言葉や表現にこだわって読んだり,書いたり,話したりする子どもの姿が見られるように手立てをもって授業することです。

 そこで,今年度は,説明文の学習では「一番○○なものを決める」等の判断型学習課題について,単元を通して探っていく場を設定する授業を構想しています。また,物語文の学習では,単元を通して作品のよさを蓄積し,年間を通して,それぞれの作品のよさを比較したり,見直したりする場を設定する授業を構想しています。そうすることで,子どもたちは,「友達はどう考えているのだろう」「なぜ,その言葉を選んだのだろう」「作者(筆者)は,○○な表現の工夫をしているから,すばらしい」など,友達や作品,書き手と対話しながら,主体的に学びを紡いでいくと考えたからです。

 今年度から,【授業づくり研修会】という新たな試みが始まります。5月20日(金)に私が実施しますので,御興味のある方は,ぜひ御参加ください。一緒に国語科の授業づくりについて考えていきましょう。

2月11日は御一緒に!
2022/01/18
2月11日(金)に,第1回 小中一貫教育研究協議会(オンライン)を開催します。
この研究期では,教科等の本質に迫りつつ,well-beingにつながる学び方のモデルを提案したいと考えています。
そこで,国語部として私は,『たぬきの糸車』(光村図書1年下)の授業実践を通して,「言葉への自覚を高めるこれからの授業モデル」について提案します。

昨今、コロナ禍で今までにない混乱が起きています。
来年、入学する1年生は人生の半分をコロナ禍で過ごしています。社会人となって何年も経つ私たちとは全く異なる子ども時代を経験することとなるのでしょう。また、この子たちが社会人となるときも私たちとは異なる社会となっているかもしれません。

このように、今までとは違う困難や大きな課題を克服する力を子どもたちは身に付け、自分の人生を豊かに、そして社会や地球とのつながりを良好にしていってほしいと考えています。それこそが【well-beingの実現】だと捉えています。
 

【well-beingの実現につながる力とは?】
 『OECD Education2030ラーニングコンパス』によれば,よりVUCA(予測困難,不確実,複雑,曖昧)が進行する時代においては,「変革をもたらすコンピテンシー」「エージェンシー」「AARサイクル」などが重要であるとされています。
 その中で,私が着目したのは,「変革をもたらすコンピテンシー」の中に位置付けられている「新たな価値を創造する力」です。
 様々な事象が,より一層複雑に関係し合う社会では,決まったことに疑問をもたず、自分一人で、既存の枠組みの中で考えるアプローチの仕方では問題は解決できません。
 そのため,今後,国語科の資質・能力を発揮して課題解決をする際にも,新しい知識、アイデア、テクニック、解決策などを新旧様々な問題に適用するような新たな価値を創造する力が必要だと考えたからです。

【「新たな価値を創造する力」を育成する学習モデルとは?】
 そこで,提案授業では,話し合いで出てきた意見から,物語を特徴付ける要素を整理し,子どもたちと蓄積していきます。その蓄積した要素を適用することで,作品の新たなよさを深めたり,語り合ったりするという「新たな価値を創造する力」が育つ,1つの学習モデルになるのではないかと考えました
そうすることで,物語を特徴付ける要素を用いて新たな作品のよさを見付けたり,他者と作品のよさを語り合ったりするような豊かな読書生活を送ることができ,well-beingの実現につながると考えました。

【国語科の本質に迫る学習課題とは?】
 さらに,豊かな読書生活につなげるためには,国語科の本質に迫る授業が外せません。
本学園の国語部では,「言葉への自覚を高めていく子どもを育成する授業」が,国語科の本質に迫る授業だと捉えています。
そこで,本単元においては,提案授業の本時を含めた第二次で蓄積した物語を特徴付ける要素を用いて,第三次で別の作品の感想を書く活動を設定します。
そうすることで,作品のよさや面白さを紹介する際に,自分の感想と物語を特徴付ける要素とを関連させて紹介する子どもの姿が実現できると考えました。


【協議会の視点】
 (1)物語を特徴付ける要素を整理,蓄積する場の設定は,「新たな価値を創造する力」が育成され,well-beingの実現につながっているか?です。
(2)物語を特徴付ける要素を用いて,別の作品の感想を書く活動の設定をすることで,言葉への自覚が高まり,国語科の本質に迫ることができそうか?です。

 授業は,1月後半に実施予定です。協議会は,2月11日(金)です。
 皆様の御参加をお待ちしております。(有田)

言葉への自覚を高めるこれからの授業モデルとは?
2022/01/15
 2月11日(金)に,第1回 小中一貫教育研究協議会(オンライン)を開催します。
 この研究期では,教科等の本質に迫りつつ,well-beingにつながる学び方のモデルを提案したいと考えています。
 そこで,国語部では,『おにごっこ』(光村図書2年下)の授業実践を通して,「言葉への自覚を高めるこれからの授業モデル」について提案します。

【well-beingとは?】
 本学園では,well-beingを「個人だけでなく,社会や地球環境まで含めた全体的に良好な状態」と捉えています。
 教科等の本質に迫る授業で身に付けた資質・能力を,人生において自在に発揮できる子どもを育成することができれば,社会が抱える複雑で困難な課題を解決していくことができ,well-beingの実現につながると考えています。

【well-beingの実現につながる力とは?】
 『OECD学習枠組み2030』や『Education2030ラーニングコンパス』によれば,よりVUCA(予測困難,不確実,複雑,曖昧)が進行する時代においては,「変革をもたらすコンピテンシー」「エージェンシー」「AARサイクル」などが重要であるとされています。
 その中で,国語部が着目したのは,「変革をもたらすコンピテンシー」の中に位置付けられている「対立やジレンマに対処する力」です。
 様々な事象が,より一層複雑に関係し合う社会では,これまで以上に対立やジレンマ,トレードオフの関係が生じてきます。
 そのため,今後,国語科の資質・能力を発揮して課題解決をする際にも,様々な利害関係や相反するニーズの中で,関係者が納得できるような解決策を見つけ,折り合いをつけていく力が特に必要となってくると考えたからです。

【「対立やジレンマに対処する力」を育成する学習モデルとは?】
 そこで,提案授業では,「判断型学習課題」を用いて,他者との言語感覚のズレを解消していく学習過程を経験させます。
 この学習課題によって生まれる対立やジレンマに対処するためには,物事を違う視点から見たり,共感や敬意を示したりする力も発揮する必要がため,well-beingの実現につながる「対立やジレンマに対処するする力」を育成する1つの学習モデルになるのではないかと考えたからです。

【国語科の本質に迫る学習課題とは?】
 では,どのような学習課題であれば,対立やジレンマを生みつつ,国語科の本質に迫れるのでしょうか。
 本学園の国語部では,「言葉への自覚を高めていく子どもを育成する授業」が,国語科の本質に迫る授業だと捉えています。
 本単元においては,「おにごっこの遊び方は,工夫されてきた」と感じさせる筆者の述べ方の工夫を,捉えたり問い直したりしていく様相が,国語科の本質に迫った子どもの姿だと考えています。
 そこで,提案授業の本時では,筆者の述べ方と教師がリライトした述べ方とを比較して,「どちらが分かりやすいか」を評価する判断型学習課題を設定しています。
 そうすることで,述べ方の違いから生まれる効果を捉えたり問い直したりしながら,言葉への自覚が高まっていくと考えたからです。

【協議会の視点】
 (1)「判断型学習課題」を用いた学習モデルは,「対立やジレンマに対処する力」が育成され,well-beingの実現につながりそうか?
 (2)リライト文と比較して,「分かりやすさを評価する学習課題」は,言葉への自覚が高まり,国語科の本質に迫ることができそうか?

 授業は,1月後半に実施予定です。協議会は,2月11日(金)です。
 皆様の御参加をお待ちしております。(田中)

附小祭での学び
2021/12/07
11月20日(土)の附小祭では,たくさんの方にお越しいただき,ありがとうございました。

2年1組は,生活科で作ったおもちゃと国語科の学習を取り入れたクイズを合わせた遊びのお店を開きました。

子どもたちは,これまでグループの友達と協力しながら,話合いや練習を重ねてきました。

しかし,多くのグループで友達関係のトラブルを経験していることが分かりました。

子どもたちに聞いてみると,企画のアイデアが合わない時,材料がなかなか集らない時、おもちゃがうまく作れない時,相手を注意した時などが喧嘩になりやすいようでした。

対立やジレンマがある状況では,相手を気遣う言葉選びや共感的な態度が大切です。

この附小祭は,国語科・生活科の学びだけではなく,トラブルを乗り超えながら,よりよい人間関係のスキルを身に付けていく学習の場にもなったのではないかと思います。

感想を伝え合おう『おかゆのおなべ』(光村図書1年下)
2021/12/06
早いものでもう12月です。そろそろ年末のカウントダウン気分です。1年1組の子どもたちは生活科で,秋のものを使ってクリスマスの飾りを作っています。ツリーやリースを思い思いに作り,気分はすっかり,クリスマスのようです。

国語科では,物語を読んだ感想を伝え合おうという言語活動のもと,物語文『おかゆのおなべ』の学習に取り組みました。
あらすじは,貧しい女の子が森で出会ったおばあさんから,呪文を唱えるとおかゆが湧き出るおなべをもらいましたが,呪文を知らないお母さんがおかゆを町中にあふれさせてしまうというお話です。
光村図書では,『おむすびころりん』に続いて,2回目の昔話を活用した学習です。

この単元の重点目標は,
@読書に親しみ,いろいろな本があることを知ることができる。(知識及び技能)
A語と語や文と文との続き方に注意しながら,内容のまとまりが分かるように書き表し方を工夫することができる。(思・書くこと)
B文章を読んで感じたことや分かったことを共有することができる。(思・読むこと)
となっています。

この学習を成功させる手立てとして,「面白さの要因をラベリングすること」にしました。

子どもたちは『おかゆのおなべ』の範読を聞いたそばから,
「ありえん〜!」「おかしいよ〜!」と笑っていました。
では,何があり得なくて,おかしいのでしょうか。
子どもたちから出たものは,
@おばあさんがお鍋をくれること
Aお鍋から火も使わずにおかゆができること
Bお鍋からおかゆが湧き出てくるときの音
Cお鍋の呪文をお母さんが間違えること
Dその結果,町中がおかゆだらけになること
ということが挙げられました。

子どもたちから出てきた部分が本当に面白いかは,「○○がもし,なかったら?」や「もしも,○○にかわったら?」と別の表現に代わっても面白さは変わらないか,さらに面白くなるか,面白くなくなるかで判断していきました。同じくAも普通のお鍋ではこの物語はちっとも面白くないものになるでしょう。
@は,登場人物についてです。「もしも,おばあさんが出てこなかったら?」と問うと,子どもたちはこの展開を巻き起こす人物がいなければ,話が面白くならないと気付きました。

BとCについては,表現の工夫です。
Bは「うんじゃら,うんじゃら」と表されています。私たちが日常で使う煮るときの擬音は「ぐつぐつ」「ぶくぶく」「コトコト」のようなものです。そこを「うんじゃら,うんじゃら」とすることで,何か得体のしれないものが,湧き上がってくるようなイメージになります。私たちは「『音』が面白い」と捉えました。
Cはお母さんの焦った様子がせりふから想像できます。すぐに「『せりふ』が面白い」と捉えました。子どもたちは,さらに「お母さんに,呪文を知らせていないことが面白い!」と気付きました。お母さんの行動から女の子の行動にまで着目することができました。もし,お母さんが呪文を知っていれば,こんな大事件は起こるはずがなく,物語にはならないですよね。
このように,面白さを捉えていきました。

加えて,感想を書く時には,「感想を互いに読み合う」時間をしっかりと確保しました。その中で、相手の文を読んで、「いいな」と思う部分には赤色、「あれ?」と思う部分には青色で印を付けさせました。そうすることで,相手の文字や言葉の間違いに気付くことができるとともに、互いにもっとよく書こうという意識にもつながりました。また、しっかり時間を確保することで互いの考えを共有することもできます。自分と同じ感想を持っていることの喜びと違う感想を知れたことの喜びを両方味わうことができました。

また,図書室から外国の昔話もたくさん借りて,並行読書も行いました。子どもたちは,今まで知らなかった外国の昔話に触れ,夢中になって読んでいました。1年1組には,『おかゆのおなべ』によく似た,『よしおくんがぎゅうにゅうをこぼしてしまったおはなし』(作: 及川 賢治 竹内 繭子)(※外国のお話でも、昔話でもありませんが)という絵本があります。とても面白いので,ぜひご一読を!(有田)

馬のおもちゃの作り方(光村図書2年)
2021/11/06
 11月になってから,「馬のおもちゃの作り方」(光村図書2年)の学習をしています。

 本単元では,「時間的な順序や事柄の順序などを考えながら,内容の大体を捉えること」「文章の内容と自分の体験とを結び付けて,感想をもつこと」の2つを重点目標にしています。

 本教材は,馬のおもちゃの作り方がよく分かるように,主に3つの述べ方の工夫がされています。一つ目は,〈前書き〉〈材料と道具〉〈作り方〉〈遊び方〉という,事柄における説明順序の工夫です。二つ目は,「まず」「つぎに」「さいごに」などの言葉を使って説明している,作業手順を説明する工夫です。三つ目は,文章に合わせて写真や図を用意しているという工夫です。

 この教材特性を生かして深い学びを実現するためには,「筆者の述べ方の工夫は,読み手の作りやすさに対して効果的だったのか」ということに着目して,自分の考えを形成していくことができる場の設定が大切であると考えました。

 そこで,本単元では,実際に教材文を読みながら馬のおもちゃを制作した後,「この説明書は,分かりやすかったか」という視点で初発の感想を書かせるという,第一次の教材文との出合わせ方を工夫しました。そうすることで,子どもたちが,文章の内容と実際に上手に作れた(作れなかった)自分の体験とを結び付けながら,筆者の述べ方に対する自分の考えを形成していく単元構成になると考えたからです。

 子どもたちは,作りながら様々なつぶやきをしていました。

・「四センチメートルずつ四つ切り出しましょう。」が,空き箱の縦向きなのか横向きなのかがよく分かんない・・・。
・図や写真にも,長さや説明が書かれてあるから,そこを見たら分かるじゃん。
・たてがみやしっぽの付け方の説明や写真がないから,よく分かんない・・・。
・「すきな色の画用紙をはったりしてもいいですね」だから,そこは,見本通りじゃなくてもいいんだよ。
・最初のページに,完成形の写真があるから,それを見たら,だいたいのイメージが分かるよ。
・ほとんどの人の馬が立ってなかったから,〈遊び方〉より〈立たせ方〉を書いた方がいいのではないかな・・・。

 国語の学習では,初発の感想を書かせることがよくありますが,それがその後の展開でうまく活用されることは,意外と少ないのではないでしょうか。それは,間口が広すぎる感想を書かせていることが原因だと考えています。

 説明文の筆者は,「期待する読者の反応」を得るために,述べ方を工夫しています。そこで,高学年の論説文であれば,事前に筆者の主張に関わるテーマに対する自分の考えをもたせた上で,教材文に出合わせ,「納得できたか」という視点で初発の感想を書かせます。本単元のような説明書であれば,実際に作った上で,「分かりやすかったか」という視点で初発の感想を書かせます。

 そうすることで,子どもたちは,第一次の時点で,言葉による見方・考え方を働かせて,筆者のよいと感じる述べ方(問題だと感じる述べ方)に着目し,第二次で,その述べ方の効果を捉えたり問い直したりしていき,第三次で,「説明のコツ」という学習のまとめを書かせれば,言葉への自覚を高めていく授業展開が期待できると考えています。(田中)

ことばでみちあんない(光村図書2年)
2021/10/21
9月27日から10月13日まで,後期教育実習があり,2年1組には,2名の教生先生が来てくれました。その2名の教生先生と一緒に,「ことばでみちあんない」(光村図書2年)の単元を作りました。
 
 教生先生は,この単元の重点目標を,「共通,相違,事柄の順序など情報と情報との関係について理解すること」「相手に伝わるように,話す事柄の順序を考えること」としていました。

 本教材を見てみると,みどりさんが電話で道案内をしていますが,説明に不十分さがあるため,分かりにくい道案内となっていました。教科書に提示されているエラーモデルから,道案内のコツが捉えやすいようになっています。

教生先生と私は,この教材特性を生かして深い学びを実現するためには,どこが分かりやすくて(分かりにくくて),どうして分かりやすいのか(分かりにくいのか)という説明の仕方とその効果を自覚して,道案内をすることが大切だと考えました。

 そこで,本単元では,道案内のコツを捉えた後,実際に友達と道案内をし合う際に,タブレットのメモアプリを用いて音声を文字化させて記録する場を設定することとしました。そうすることで,ICTの活用によって,消えてなくなる音声言語の課題を克服し,リアルタイムで文字化された資料を根拠に,説明の仕方の効果を自覚することができると考えたからです。

 声の大きさなどによって正しく認識されない場合もあるという難しさもありましたが,子どもたちは,「目的地の近くにあるものを伝えるとよい」「別の目的地が近くにある場合は,目印になるものの方向も伝える」「説明が詳しすぎても短かすぎてもだめで,必要な情報だけを伝える」など,実感が伴った自分なりのコツが見つけていました。

 教生先生と一緒に授業を考える中で,ICTを効果的に活用するよさと難しさを改めて感じることができました。ICTの「記録性」や「即時性」という特性は,他の領域でも効果的に活用できる場面がありそうですね。(田中)

『しらせたいな,見せたいな』(光村図書1年)
2021/10/20
秋が深まってきた今日この頃ですが,皆様いかがお過ごしでしょうか?
光小では,冬服の子どもたちが増え,季節の移り変わりを感じています。

国語科では,『しらせたいな,見せたいな』の学習に取り組みました。
この学習では自分の見せたいものの特徴をメモから作文に書き起こし,家族の人に聞いてもらうという活動があります。なぜ,知らせたいのか,見せたいのかと考えたときに「お気に入りだから!」という気持ちに気付き,「お気に入りの自然のものを紹介する作文を書いて,紹介しよう」という言語活動を設定しました。

この学習の重点目標は,
@書くことに必要な事柄を集めたり確かめたりする。
A語と語や文と文の続き方に注意して書き表す。
となっています。

この学習を成功させる手立てとして,書いたものを評価し,練り直すという活動に取り組みました。
簡単に流れを書くと・・・
@ プレ作文の書きぶりを評価する。・・・(1時間)
A 教科書の書きぶりを評価する。・・・・(2時間)
B ふせんにメモを書く。・・・・・・・・(1時間)
C メモの順序を評価する。・・・・・・・(1時間)
D メモを作文に書き起こす。・・・・・・(3時間)
E 友達と紹介し合う。・・・・・・・・・(1時間)
E 家族に紹介する。

その中でも@ACについて詳しく紹介します。

@課題意識をもつために生活科で書いたお気に入りの自然のものについての作文を読ませ,互いに評価をさせました。たくさんの特徴を羅列して書いていた子が多かったのですが,評価し合うと,自分が思ったよりもお気に入りだという気持ちは,相手に伝わっていないということに気付きました。もっと伝わるように書くには,どうしたらよいかと課題意識をもつきっかけとなりました。

A教科書の作文を評価しました。この作文がよくわかると評価した子は,「特徴と感想をつなげて書いているから」としている子が多かったです。自分のメモにもその書きぶりを生かそうとする姿が見られました。また,教師から「もし,この作文に付け足すなら,どこに書く?」と代案を提示することで,同じことを書いている文はセットにして書くと分かりやすいことに気付きました。

Cメモは項目ごとにふせんに書かせました。ふせんにすることで,順序を入れ替えることができます。どの順序で書くとよいかを練り直すことができました。また,友達とふせんの順序を確かめさせることで,「1つのふせんに目と足のことが入っているよ。分けた方がいいんじゃない?」「形のことを2つ書いているから,バラバラにするより,セットにして書いた方がいいんじゃない?」などの気付きを友達に伝える姿が見られました。

 このような活動をすることで,自分が紹介するものに対する「お気に入りなんだよ!」という気持ちが伝わる作文にするコツが少しずつ分かってきました。また,子ども同士で書いたものを確かめたり,アドバイスしたりすることが,「よりよくしよう」「よりよくしたい」という思いにつながったと思います。

前ページTOPページ次ページHOMEページ
- Topics Board - Skin by Web Studio Ciel

光小トップ研究国語科トピックス